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上原氏、今日委員長辞任か?=百周年協会執行委員会=下本氏推すも物別れに=後任探す遠山、渡部の両氏

2006年8月31日付け

 ブラジル日本移民百周年記念協会執行委員会の上原幸啓委員長が、今日午後に行われる会議の場で辞任すると見られる。同委員会の遠山景孝広報担当、渡部和夫協会顧問が、下本八郎氏に後任に、と説得したが物別れに終わっている。遅々として進まない百周年関連事業。理事会と同様の権限を持ち、「加速の年」の推進力と期待された執行委員会だが、完全に機能不全に陥っているのが現状だ。次期執行委員長は誰なのか。建て直しを図ろうと奔走する遠山、渡部の両氏の動きを見る。
 今の体制は誰から見ても間違っている。このままでは空中分解する。マスコミに対する態度もおかしいし、一世とも完全に離れてしまっている。日本のことも分かっていない。あなたが泥をかぶって百周年は潰れてしまう―――。
 今月十七日夜、上原氏と食事をともにした遠山氏は、「遠慮ない話でいいですか」と切り出し、腹蔵ない意見をぶつけた。
 無言で聞いていた上原氏は、最後に「言われた通りです。私利私欲などない。いつでも辞めます」と辞意を明らかにしたという。
 話し合いは午後七時半から午前零時まで約四時間半に及んだ。
 以降、経緯はこうだ。
 今月二十四日、上原、渡部和夫(協会顧問)、吉岡黎明(協会総務委員長)、遠山の四氏が文協会長室で会合を行った。
 吉岡氏も総務委員長を離職することを了承、上原氏は今後執行委員会の会合にも出席しないとして、第一線から退くことを飲んだという。
 では誰か――。執行委員会内部から後任を検討、上原氏は栢野定雄氏(日本カントリークラブ)を推したが、かつての教え子という関係もあるため、「上原、渡部の両氏から距離のある下本八郎氏をということになった」と説明する遠山氏は下本氏をこう評価する。
 「元州議だったことから、ブラジル側にも顔が利く。日本向けの話もできるし、一世を呼び戻すことが出来るのでは」と話し、他の執行委構成団体からの賛意もあることを付け加える。
 翌日、遠山氏から執行委員会長を任せたいとの話を受けた下本氏だが、即答は避けた。三十一日に行われる執行委員会までに、と急ぐ遠山氏は二十九日、渡部氏を伴い下本氏と会合したが、物別れに終わっている。
 下本氏はいう。「執行委員会だけやれといわれても難しい。他の部分の問題があるからこそ何も動いてないのでは。一部だけ変えても意味がない。法的には二つの団体だけど、(文協も百周年協会も)一緒の人がやってるわけでしょう」。
 下本氏が先の文協選挙でも主張していた「百周年は文協と一緒であるべき」という考えが、この発言の背景にある。さらに「執行委員会も協会の定款にないのでは」と指摘する。
 「まずは執行委員会からということだったのだが、下本氏の言うような形となると今の段階では…。ちょっとラジカル過ぎるのではないか」と遠山氏。
 渡部氏は「執行委員会の役割を理解してもらってないように思う」と、委員会の重要性を改めて説明する。
 「執行委員会は理事会と同じ権限をもつ組織。議会制度(parlamentarismo)のようなものだが、問題は理事長でもある委員長に上原氏が選ばれたことで、委員会内の決議権を上原氏に求める大統領制(presidencialismo)のような雰囲気になってしまったことだ」
 「執行委員会ができた時点で安心していたのだが」と渡部氏は声を落とし、委員自体の認識不足も指摘、「うまくいかなかった」とその機能不全を認める。
 下本氏は、「私から何かお願いすることはない。最後の提案は向こうからするべきもの。やるなら仕事をしやすい状況を作ってほしい」と微妙な発言に留まっている。
 このような状況を受け、遠山、渡部の両氏は、後任探しを続けている。
 「上原氏の委員長辞任と後任発表が同時に出来ればいいのですが」(遠山氏)
 三十日午後四時現在、内部変革の大鉈をふるう次期執行委員長はいまだ確定していない状況だ。