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進まない貧富の差の改善=最賃引き上げは効果薄=選挙の翌年には所得減少

2006年8月24日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】二〇〇五年と〇六年に最低賃金の大幅な引き上げが行われたにもかかわらず、この二年間で貧富の格差が思ったほど改善されていないことが明らかにされた。
ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)の経済研究グループがブラジル地理統計院(IBGE)の月間雇用調査をもとに算出したもので、最賃の引き上げは実質的に平均所得の上昇に貢献しなかったと結論づけた。その上である程度の改善は見られるものの、最大の要素は〇四年上半期の経済成長のたまもので、過去二年間ではドラスティックな動きに至っていないと指摘している。
 例えば全体の半数といわれる貧困層では〇二年に一〇・一%の所得が上昇、これが〇六年六月には一二・二〇%となった。しかしこの間には〇四年七月の一一・六二%という大幅な上昇率がある。〇四年は四月から六月までの二カ月間で一〇・五%から一一・六二%へとスピード上昇している。〇五年と〇六年は〇四年の効果を引きずったに過ぎない。いっぽうで一〇%といわれる富裕層では収入減少が二〇〇二年の四九・一二%から二〇〇六年は四六・八九%となった。
 FGVではこの流れを最賃大幅引き上げにより、失業の増加と安定雇用の減少につながったとみている。〇四年での最賃は二四〇レアルから二六〇レアルになったものの、インフレ率を加味すると実質引き上げはゼロだった。しかし〇五年は実質九%、〇六年は一三%だった。〇四年は好況に支えられ失業が減り、安定雇用が増加したのが原因だと指摘している。
 いっぽうでFGVが過去の選挙の年を調査した結果、その年の所得が平均一二%上昇することが判明した。しかし喜びもつかの間翌年は一一・九%減となり、元のもくあみとなってきている。選挙のための大振舞が長年の歴史となっている。最も恩典を受けるのは公務員で平均八%以上の昇給を得ている。選挙の年の新規雇用が法で禁止されているからだ。
 選挙運動要員もその一つだ。失業者にとっては願ってもない収入源となる。最低賃金が三五〇レアルになったことで、候補者のビラ配りは平均で週一〇〇レアルとなっている。これまで最賃三〇〇レアルの収入で解雇された人には、選挙日までとはいえ貴重な収入となる。