先月、節目の三十回を迎えたサンパウロ日伯援護協会福祉部の恒例企画「お見合い会」。同会を過去二十回以上担当し、「コロニアの恋愛事情」にも詳しい心理士の久保エーリオさんが今回、お見合い会の〃裏事情〃やお見合い会成功のコツなどを話してくれた。
前回の参加者は男性が二十七人、女性が二十九人とほぼ半々。実際はもっと女性からの申し込みが多く、男性との割合を考えて「お断りを出した」ほどの人気ぶりだ。
年齢は三十代から五十代が中心。もちろん二十代の若い女性も参加もする。過去には七十代の男性が、四十代の女性を探しに参加したこともある。参加条件に年齢制限がなく、幅広い年代から参加できるのが特徴だ。
参加者の多くがサンパウロ市在住者。モジ市やスザノ市、パラナ州ロンドリーナ市などの近郊からも駆けつける。遠方からはアマゾナス州のマナウスから参加した六十代の男性もいる。
現在、千六十四人がお見合い会会員に登録。その内男性百人、女性百五十人程がよく参加する。
女性は大体二~三回ほどで参加者が入れ替わる。男性は十回~二十回くらい参加する人もザラで、中には三十回全てのお見合い会に参加中の「つわもの」もいる。職業は警察官、五十代男性の非日系人。「何回か女性とデートをしたと聞きましたが、ここまでいくとさすがに本気でお嫁さんを探しているのかわかりません」。
お見合い会成功のコツについては「最低限のお洒落をしてくること」。男性参加者の全員ではないにしろ、せっかく魅力的な人でも「服装がダサいことが多い」と残念がる。
見た目だけで人は判断できないが、「ここはお見合い会。アピールの場です。是非もっとお洒落をして来てほしい」と助言する。
また、よくあるのがお見合い会に参加しても、同性同士で固まってしまうケース。女性三人、四人が隅でおしゃべりをするというものが多く、「これでは、さすがに男性一人で話に入っていけませんよね」と洩らす。
毎回このような状況になりがちなため、自己紹介のやり方も毎回工夫しているという。前に立って一人ずつ話すやり方やグループ形式、男性と女性が対面に一列にならんで、横にずれていく形で全員とあいさつするなど数多い。「意外にも内向的な人が多いですから、こちらも気をつかいます」。
この他に、お見合い会の前に写真だけをみて「この人はだめ」と判断する人が多いという。「写真だけでは決して判断できません。まずは一度会ってみることが大事」とアドバイスする。
「理想の王子様」はなかなかいないものだが、「多少欠点があっても、ピンと来たら恋の始まりです」とエーリオさん。以前、年下の女性にずっとこだわっていた男性が、お見合い会であった年上の人とうまくいったこともある。「人を好きになることに理由はありません。まずは参加してみて下さい」。エーリオさんの言葉はずしりと響く。
◎
第十五回開催時にエーリオさんは「こんな男性・女性は嫌だ」のテーマで参加者にアンケートした。結果は女性が男性に対して「酒飲み」が七票で一位。「なまけもの」「うそつき」「うわきもの」が六票で第二位。続いて「男性中心主義」と「女好き」が三票ずつでランクインしている。
一方、男性が女性に対しては「おしゃべり」が七票で一位。「本音を言わない」と「頑固」が四票で、二位。「嫉妬深い」や「うそつき」「神経質」「やせている」がそれぞれ三票で三位となった。エーリオさんによればこの傾向は現在もほとんど変わらないという。「異性にモテる」ポイントとしておさえたいところだ。
援協お見合い会〃裏事情〃=紹介の仕方さまざま工夫=写真だけで判断しない=まず1度会ってみること=嫌いな男性「酒飲み」=嫌いな女性「おしゃべり」
2006年8月19日付け