ニッケイ新聞 2006年8月17日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】十月の総選挙に向けた各候補のテレビとラジオによる政見放送が十五日から始まった。放送は九月二十八日まで実施され、各党や候補は少ない持ち時間でいかに効率よく宣伝し浮動票を獲得するか、最後の追い込みに賭ける。
初日の放送で注目されたのが、前日のバンディランテス局のテレビ公開討論に欠席し、敵前逃亡と各候補から非難されたルーラ大統領だ。大統領は再選に向けて約七分間の持ち時間をこれまで四年間の政権での成果を、データを交えて披露するのに費やした。
なかでも経済は過去に類のない成長を遂げたと強調した。国会議員の不正汚職については与党の労働者党(PT)に限らず全ての党にはびこっているもので、政治制度に問題があるとした。その上で疑惑議員は処罰され、政治的に追放されるべきだとの、従来の主張を改めて強調した。
しかし、この後で登場したPT公認の各候補の宣伝で、下議出馬のパロッシ前財務相とグァダニン現下議は関係者を白けさせた。パロッシ前財務相は不正を告発され審理中の身であり、グァダニン下議はメンサロン疑惑で議員権はく奪が否決された際に国会でいわゆる「ピザ・ダンス」を披露して同僚を祝った経歴の持ち主。これにより下院倫理委員会で問題となり、PT党内から除名の声が挙がったイワク付きの議員。ほかにも灰色議員が多数再選に向けて出馬しており、大統領の言う政治追放はかけ声倒れとなっている。
アウキミン候補はコーヴァス元知事に逆上って十二年間のサンパウロ州政権をアピールした。その上で、現政権の所得増加や不均衡等、貧困手当の不備を突きながら改善していくとの見解を示した。
エロイーザ候補は鉄の女のイメージと優しい母親の両面を打ち出して支持獲得を狙っている。とくに北東部の貧困母子家庭の惨状を訴え、その改善を約束している。