ニッケイ新聞 2006年8月16日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】サンパウロ市は二〇〇六年十二月までに路線バスやマイクロバス、バン、ロタソン(乗合バス)へ宇宙管理によるGPS(全測位)システムを取り入れるという。強盗に襲われたバスの救出や故障したバスの乗客乗換え、次に来るバスの到着時間通報、バス停で待つ乗客の行列管理などを行う計画がある。
交通システムの総合管理を行うのはサンパウロ市交通機関公社(SPTrans)で、路線バス各社に財務体質の改善と乗客サービスの万全を求める。市は年間の通勤料金を三〇億レアルとし、新管理システムを立ち上げる費用を一〇億レアルとみている。計画は早くからあったが、GPS機器の到着が遅れたため、PCC(州都第一コマンド)の襲撃にスキを与えたとしている。
サンパウロ市のロタソンは現在、ほとんどがPCC組合の縄張り下にある。ロタソンの運転手やコーディネーターはPCCの指示に従わないと殺害される可能性がある。縄張り外にあっても、遅かれ早かれPCCの命令に服従するか路線放棄を命じられる。
PCCの縄張りに入ったら、水揚げのよい路線は高額の上納金を命じられる。水揚げが上納金の額に達しなければ、自腹を切らされる。それも出来なければ、死が待っている。
ロタソンの運転手は、麻薬の販売拠点を乗客が見ないよう、市が指定した路線を迂回する。多くのマイクロバスやバンは、麻薬の運搬を強制される。市の管理手配が遅れたため、運転手は数々の不正行為を余技なくされている。
市のGPSシステムは、車両に通報システムを取り付け、PCCが命令する迂回通路はどこかを調べる。車両の走行時間と到着時間もチェックし、PCCの動きを調べる。路線バス会社も財政難の中、GPSシステムに協力し、八〇〇〇個のGPSシステムを発注した。
SPTransは、路線バス会社へオンラインで路線の通行状況を同時報告する。カサビ市長はまず、サンパウロ市北西部でPCCに狙われ易いバンやマイクロバスから試験的に始めるという。市から指定された路線バス会社も、市の要求に即時対応するよう求めた。