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72人の議員権はく奪要請=救急車CPI=議会史上最多の告発=連立与党議員が多数占める=注目の賄賂受取額番付

ニッケイ新聞 2006年8月12日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十一日】救急車納入をめぐる汚職を調査するサンゲスーガ(蛭)CPI(議会調査委員会)は十日、上議三人と下議六九人の議員権はく奪を要請する最終報告書を発表した。上院リーダーのスアスナ上議(ブラジル民主運動党=PMDB)やスリェサレンコ上議(労働者党=PT)など七二人は、救急車購入による公金横領で関与疑惑が持たれていた。全体の一二%に当たる議員がCPIに大量告発されたのは、議会史上初めて。最も多いのはリオデジャネイロ州出身議員で一三人、党では自由党(PL)やブラジル労働党(PTB)、進歩党(PP)など連立与党議員が多い。
 上下両院議員に支払われたリベートは、約九〇〇万レアル。最も分け前が多かったのは、ロッシ下議(PP)の三一〇万レアルで約三分の一に当たる。連座した連立与党の議員数は全体の六五%になる。PLが一八人、PTBが一六人、PPが一三人。PTが二人。野党では自由前線党(PFL)が七人。ブラジル民主社会党(PSDB)の一人は離党した。
 これまでの大規模議員権はく奪要請は、郵便局CPIの一九人。イタマル政権の予算CPIが一八人であった。同CPI報告者のランド上議(PMDB)は、マフィアの本部プラナン社と関与した中心人物ベゼーラ下議や、他一八人を証拠不十分で取り下げとした。
 同報告書は、救急車スキャンダルを贈収賄と犯罪容認、弁護士法違反、特権乱用、不正入札で立件という。CPI報告書は倫理委員会を経て議会へ回され、審議された後、最終的に政治判断による表決が行われる。議員権がはく奪されると、会期終了後から八年の政治活動が禁じられる。
 同CPIの俎上に乗ったのは九〇人、検察庁へ書類送検されたのは五七人。救急車疑惑が浮上したのは五月、連邦警察の手入れがキッカケであった。連警の捜査によれば、救急車汚職は医療機器も含め二〇〇一年から行われていた。リベートは取引額の平均一〇%とみられる。
 リベート受取額の番付に注目が集まっている。ロッシ下議をトップに、番付五傑に下院第二書記のカピシャーバ下議(PTB)が六四万六〇〇〇レアル。スアスナ上議(PMDB)が二二万二五〇〇レアル。その他に金額不明でフレイタス下議、コスタ下議、ゴンサウヴェス下議が並ぶ。続いて一九人は、一〇万レアル以上とみられる。
 次に倫理委員会の審議では、誰が白洲に引き出されるのかランド下議が鍵を握っている。一番バッターが貧乏くじを引くことになりそうだ。倫理委員会では、マフィアとの役割分担を四種に類別する。第一はマフィアとの接触。第二は地方自治体との接触。第三は議会工作。第四が予算局との接触である。
 証拠不十分で取り下げにされた一八人の中には、もっと悪質なケースがあったと、不公平な扱いと裏取引に抗議する議員もいる。報告書が発表された後の議会は、選挙でライバル議員を失脚させるための策略だと抗議が渦巻いた。告発された議員らは、同CPIが選挙運動の一環だとし、弁護の機会を与えない人民裁判だと訴えた。