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父の日にPCC幹部帰宅へ=検察、許可却下を要請=母の日には襲撃に加わる=「13日に襲撃」の情報入手

ニッケイ新聞 2006年8月11日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】軍警情報部は九日、来る「父の日」に帰宅し、家族との団らんが許される半拘束受刑者一万二〇〇〇人をチェックし、その中から犯罪組織州都第一コマンド(PCC)の幹部一一三人を割り出したと発表した。サンパウロ州検察局は、刑執行裁へ一一三人のリストを提出、外出許可を却下するよう要請。犯罪組織の最高幹部と目されるのは、二五人。二三人がPCC関係で、二人は他の組織。拘束中のPCCメンバーは四八九五人で、これはつるの部分になる。この下に多数の芋がついている。情報部は、PCCが十三日に新たな襲撃を計画している情報を入手した。
 半拘束制の受刑者に年五回の帰宅許可を与えるよう連邦令は定めている。母の日には一万二六四五人が帰宅を許され、そのうち七・六三%の九六五人が蒸発した。復活祭には一万二二六八人が帰宅を許され、八〇九人が蒸発。二〇〇五年の父の日は、七・二九%の八〇八人が蒸発。同年母の日は六・四一%の七一六人が蒸発している。
 受刑者は帰宅許可が出ると十三日午前八時に一斉に外出。十四日午後五時が門限となっている。受刑者が日曜日、襲撃を指揮するという根拠が全くないのに法的に帰宅は禁止できない。予測だけで拘束することは違法に当たる。サンパウロ市内の刑務所だけで四〇八人の受刑者が一度も帰宅を許されたことがない。
 検察局が刑執行裁へ外出許可の却下を要請するには法的根拠が必要で、それなくして受理はされない。一度外出許可が出た受刑者には、今回なぜ差し止めか新たな証拠が求められる。知能犯は、刑務所内で模範生だ。規律違反を回避する要領を熟知している。
 軍警情報部は過去最大のPCC騒動を起こした五月の「母の日」をどう過ごしたか、帰宅した受刑者を監視した。同日に帰宅を許可された受刑者十人が、軍警によって射殺された。F・モラット警察署に手榴弾を投じた犯人と第一九署のパトカー爆破犯は、帰宅を許可された受刑者であることが確認されている。
 ルーラ大統領は十一日、レンボサンパウロ州知事とサンパウロ市空軍基地で会合を開き、陸軍派遣を政治的に利用することを戒めた。州政府内は非公式派遣で容認が意見の大勢を占める。世論は派遣容認が多数を占めるが、それで派遣決定かは微妙だ。軍部は、政治の片棒担ぎと呼ばれることを警戒している。
 サンパウロ州知事は、労働者党(PT)がPCCを背後で唆し、大統領選の政治工作を行っているという仮説を持ち出し、マスコミと議論をしないようサウロ保安長官に注意した。保安長官はPCC策動のぶ告罪でPTから訴えられた。世論は陸軍の派遣容認だが、心理的逆効果を考慮しないからだと知事はいう。陸軍の情報部とロジスチック(統括部)は、すでに見えない所で縦横無尽に活動している。
 組織犯罪捜査課(Deic)は事件が起きる前の六日早朝、軍警と市警本部(Cepol)にPCCの異様な動きと襲撃の可能性を通告した。しかし、通告に応じる様子はなかったという。軍警が行動を開始したのは、襲撃命令を盗聴した六日午後であった。