ニッケイ新聞 2006年8月10日付け
ブラジル政府と農業、捕鯨問題等について協議するため三日、宮腰光寛農林水産副大臣(衆議院議員、富山二区選出)が来伯した。七日までの滞在中、ブラジリアで関係省庁高官と協議したほか、サンパウロで商工会議所、日系団体関係者と意見を交換。パラグアイのイグアス移住地や、地元の富山県が開設したミランドポリスの第三アリアンサ富山村も訪れた。
宮腰副大臣は三日に来伯後、ブラジリアでギリェルメ・パトリオッタ外務副次官と捕鯨問題について協議。現在の国際捕鯨委員会(IWC)が本来の設立目的である地球規模の水産資源管理について冷静な議論ができない状況になっているとして、来年二月に東京でその正常化について話し合う会合が開かれることから、ブラジルの参加を要請したもの。会議の参加形式について今後連絡を取り合うことを確認したという。
ブラジリアではまた、ルイス・カルロス・ゲデス・ピント農相と、大臣就任の表敬訪問を兼ねて会談した。副大臣は日本人移住者への伯政府の支援に謝意を表すとともに、続く支援を要望。会談では日伯両国の農業協力に関して意見を交わし、今後定期的に協議を行う方向を確認した。
エタノールについても話題に上り、ゲデス大臣からは日本からの投資継続要請とともに、ブラジルの経験を日本で生かせるよう協力したいとする提案があったという。
四日には第三アリアンサ富山村を訪問。約二時間半滞在し、地元関係者と食事を囲んで懇談したほか、移住地内の施設などを見学、交流を深めた。
帰国日の七日夜にサンパウロの富山県人会で催された夕食会には、日本から随行した農水省関係者のほか、総領事館から丸橋次郎首席領事、田畑篤史副領事が出席。約三十人の県人会員と懇談した。
市川良一県人会長は「県人会が創立して四十六年になろうとするが、副大臣を迎えるのは初めてのこと。会員一同強い感動を覚えています」とあいさつ。また自身の故郷でもある第三アリアンサ訪問についても「夢にも思わなかった。感激はひときわ大きい」と謝した。
いとこがコチア青年としてブラジルに移住しているという宮腰副大臣。今回の訪問で十四年ぶりに再会したという。政府高官との会談で、日系人の勤勉さが信頼され、高い評価を受けていることを聞いたと紹介、「私も県人として恥じないよう国政にまい進したい。皆さんも心をひとつに支えあってがんばってください」と言葉を贈った。
県人会と記念品を交換。フェイジョアーダと鍋を囲んで懇談した。