コラム
ブラジルに来て三ヵ月半。昨日初めてお金をたかられた。「ピザが食べたいから一レアルくれ」。さわやかな笑顔で親しげに、しかし、大声で同じことを何度もまくしたてる。
こんなに明るくお金をせびるなんて。「運がよかったんだ」と自粛しつつ、不謹慎だが「日本ではないこと」だけに、たかられた恐怖よりも体験したことが面白い。
「今日実はね」。日本にいる弟に知らせようとしたが、ふとやめた。この話を聞いた両親はなんというだろうか――。「ブラジルではよくあることだから」なんて言葉は通じない。
外務省の海外安全情報を見てはメールをよこす二人。親の気持ちを想像すると、逆に自戒の念が強くなる。
「飲み物も」。ずうずうしい要求と口数の多さに「うるさいなあ」。ブラジル人の押しの強さに負けた気がした。 (稲)
2006/08/01
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