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伯代表監督にドゥンガ氏=定説崩した画期的な人選

2006年7月28日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日、二十六日】サッカーブラジル代表監督に往年の名選手ドゥンガ氏が決定したことが、驚きをもって迎え入れられている。
 ドゥンガ氏は一九九〇年にボランチとして代表入りし、一九九四年には主将として四度目のワールドカップを手中にした。その不屈な闘魂と人柄は今でも語り継がれている。しかし監督としての経験は一度もないことから、今回のブラジル・サッカー連盟(CBF)の決定は画期的な人選とみられている。
 歴代、名監督がブラジル代表を指揮するという定説が崩れたからだ。国民は監督未経験者としての手腕をいぶかる向きもあるが、先のドイツでのワールドカップでのブラジル代表の不甲斐なさで怒り心頭に発していた矢先であり、〃若返り〃に好意的だ。
 CBFの関係者によると、今回の監督決定はCBFのテイシェイラ会長の鶴の一声によるもので、背景に政治的駆け引きがあったという。当初は現ポルトガル代表の通称フェリポン監督を招聘する方針だったが断られたため、急きょ方向転換した。ここから会長の政治的判断になった。
 名前が挙がったのが現在日本の鹿島アントラーズの監督を務めるアウトリ氏だが、CBF内では次期監督として位置づけていたものの、パレイラ監督に師事していたことから、今回のワールドカップでの惨敗で見送りとなった。さらに同会長と摩擦を起こし疎遠となっているジーコ氏(日本代表監督を務めた)とアウトリ氏が親密な関係にあることも、会長の心証を害したと伝えられている。
 もう一人有力視されたサントスチームのルシェンブルグ監督は、今年のサンパウロ州知事選で労働者党(PT)のメルカダンテ候補の支持を公表したことが、会長の逆鱗に触れたという。
 CBFはブラジル民主社会党(PSDB)の告発で二〇〇〇年に資金疑惑を調査されて、CPI(議会調査委員会)を設置された経緯があり、その結論が未だ出ていない。同会長はセーラ候補の反対に回ることで、PSDBがこの問題を蒸し返すことになりかねないと危惧しているという。その意味からも会長は先週、ルシェンブルグ代表監督はあり得ないと言明した。これにつき「嫌いな本は読まずに本棚に返すべきだ」と揶揄した。
 同会長はドゥンガ監督決定に当たり、〃活力ある新風を吹き込んで代表再建に期待する〃とのコメントを発表した。ドゥンガ新監督も選手時代の気分で、「勝つサッカーを目指す」との意欲を示している。一億総サッカーファンの期待に答えられるか、関心の的となっている。