大相撲名古屋場所は、外国人に話題が集まって終わるだろうと予想したが、そのとおりになってしまった。その話題だが、「強い」ばかりでなく、「粗暴」のほうも注目された。代表格は露鵬であった▼ここで「優等生論」を書くつもりはない。大相撲力士には負けると感情をあらわにし、ものに八つ当たりする人が、いつもいるそうだ。あのおとなしそうに見える琴欧州も支度部屋にある風呂場の棚を壊したことがある、と日本の新聞が紹介していた▼元横綱栃錦の故春日野協会理事長は「相撲取り」という言葉を嫌い「力士でなくちゃ」が口癖だったそうだ。「力の士(さむらい)」の意味である。外国人は相撲をハングリー・スポーツとしてとらえ、「勝ちさえすればいい」と考えがちだ。大相撲の門戸を外国人にまで開放すれば、精神の理解が行き届かない〃強者〃は出るのは、予想されていたことだった▼国際化の波、あるいは人材不足を補うために門戸を開けてしまった大相撲は、もう閉めることはできない。これからは規律を乱した者には減俸とか降格、あるいは今度の露鵬のように出場停止処分など罰則で対処していくしかあるまい▼ブラジル出身のリカルド君は、予定通り無事友綱部屋に入門がかなった。アマ相撲での実績や恵まれた体格から部屋の期待はだいぶ大きいらしい。「大切に育てたい」という部屋の意向が伝えられてきた。外国人扱いされるだろうが、真の「力のあるさむらい」として成長してほしい。(神)
2006/07/28