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経団連自然保護基金の助成決まる=植林活動と環境教育=パ国、イグアスー日本人会に=〃牽引的役割〃に期待高まる

2006年7月27日付け

 パラグァイのイグアスー日本人会(福井一朗会長、岩手県出身)の「入植五十年に向けた植林活動と環境教育」計画が日本経団連自然保護基金に認められ、二〇〇六年度枠で二百五十万円の助成金が確定した。活動初年となる今年は『育苗センター』の第一期建設と移住地管内にある小中学校の児童生徒に『環境教育』を行うことなどが核となっている。日本人会所有地に『植林』も実施する計画だ。
 パラグァイでこの基金から助成を受けるのはイグアスー日本人会が第一号。中南米で過去十余年の間に同じような助成を受けた件数はコスタリカ、エクアドル、コロンビア、ブラジルの四カ国九件で、にっぽんこどもじゃんぐる(コスタリカ)、ダーウィン研究所(エクアドル)、コロンビア日系人協会、オイスカ・ブラジル総局、などが含まれている。
 日本で財界の頂点に立つ組織と称されている(社)日本経済団体連合会(略称・日本経団連)は、一九九二年九月、特別委員会の一つとして自然保護協議会を設立した。この協議会は公益信託・日本経団連自然保護基金に対する委託者としての役割を果たしている。つまり、協議会と基金は車の両輪のような関係にあり、協議会が日本経団連の会員企業や個人に呼びかけて募金を行い、適正と認める案件を基金が資金的に支援する、というものだ。
 二〇〇三年三月、日本経団連は「自然保護宣言」を発表し、自然保護活動に一層取り組む姿勢を表明した。一九九三年から二〇〇五年までの支援実績が六百件余となっている中で南米は今回が十件目とまだ少ないが、この地域に日本経団連自然保護基金の支援の輪が徐々に広がりつつあることは喜ばしい。
 自然保護宣言にはNGO(民間組織)との連係強化も明記されており、中南米の日系諸団体にも申請の機会が開かれている。申請受付期間は毎年十月から十二月で、選考は翌年(毎年)三月に行われる。
 助成を受けて、福井会長は「この移住地は植林を避けて通れない時期に来ている。そのための育苗センターの必要性も痛感している。これ(助成決定)を機会に行動の輪を地域全体に広げる努力をしていきたい」と抱負を述べている。 ブラジル東京農大会副会長で植物事情に精通している沖眞一さん(広島県)の助言や指導を受けることでも基金の了解を得ている。沖さんはイグアスー移住地を幾度か訪問しており、現地の植生事情にも詳しい。
 ブラジルとの国境から約四十キロの一帯にあるイグアスー移住地(Colonia Yguazu)はアルト・パラナ(Alto Parana)県の中に位置している。
 二〇〇五年十月下旬、京都で行われたパラグァイのニカノル・ドゥアテル・フルトス大統領と小泉純一郎首相との首脳会談を通して、イグアスー水力発電所建設計画に約二百十四億円の借款が決まった。工事が始まれば、必然的に周辺の環境保護と水源保全地の植林が浮上するであろう。また、米国はUSAID(国際開発局)を通してパラグァイに融資していた七百四十万ドルの返済を求めない代わりに、この金額を今後十二年間にわたりパ国の森林回復計画に充てることで六月七日、パ国政府と合意した(日系ジャーナル六月十五日報道)。
 アルト・パラナ県での森林保護も合意に含まれている。これらの動きが暗示しているのは、日本経団連自然保護基金の支援を受けたイグアスー日本人会の環境関連活動が果たし得る〃牽引的役割〃に対する期待の高まりだ。