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グローバル化は両刃の剣=貧困創出と脱出の収支は?

2006年7月26日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】グロバリゼーションは、貧困創出と貧困脱出のプロセスであると学術会議で話題になった。しかし貧困救済はさらに貧乏人を作り出す。ある国が何故、発展しないか。社会福祉が行き届き、働かなくても生活できるからではないかという。
 コロンビア大学のマルチン教授は、貧困対策の資料を集め分析した。グロバリゼーションは両刃の剣と同教授は疑問を持った。そして貧困を定義した。貧困とは、肉体的に生命を維持できる条件がない状態とした。これまで貧困とは、生命を維持するための最低カロリーを入手する手段がない状態といわれた。ある学者は最低カロリーを金額に置き換えた。
 国際通貨基金が一九四四年に創立した世界銀行は、貧乏国の救済を使命とした。そこで誰が貧乏人で、どこが貧乏国か定義することにした。それで一日当たり一ドル以下の収入で生活する人を貧乏人と決めた。学者によっては、一・五ドルや二ドルもある。
 一ドル以下を貧乏人とすると、世界の貧乏人は顕著に減る。アジア地域は中国やインドの経済発展で、貧乏人が激減した。一方アフリカのサハラ砂漠以南で貧乏人が増えた。貧乏人は一九七〇年に八〇・二%がアジアに集中していた。二〇〇〇年は七四・五%がアフリカに残った。
 中国では同期間、二億五〇〇〇万人が貧困から脱け出した。インドでは一億四五〇〇万人が救われた。中国とインドはその後、順調に経済成長を続けた。それは公正な富の再分配が行われたためではない。
 インドでは三十五年前と較べると、貧乏人は激減した。しかし、所得格差は拡大し、富の再分配は悪化した。その反対はキューバである。キューバにおける富の再分配は完ぺきに近い。しかし、国民全般は実に貧しい。
 政治的見方をすると、グロバリゼーションは貧乏人を生み出すよりも救出するほうが多いといえそうだ。国際資本主義のあこぎな商法で閉業の憂き目にあった人たちもいるが、全体ではグロバリゼーションのお陰で貧乏人は減っている。