ブラジル国内ニュース(アーカイブ)
刑務所内の掟あれこれ=面会女性の顔は絶対見るな
2006年7月14日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙九日】州都第一コマンド(PCC)幹部が刑務所内で隠然たる権限を持ち、所内での当局の規制とは別に独自のオキテを作り囚人らに徹底させている。サンパウロ市ベレン未決囚刑務所に誤認逮捕で拘留された自営業の男性(37)が所内での体験を明らかにした。
男性は昨年、サンパウロ市内で窃盗犯と間違われて逮捕され、八日間刑務所暮らしを強いられた後、無実が証明されて釈放された。PCCグループ以外の人間がムショ内のオキテを明らかにしたのは初めてのこと。
男性が刑務所に収容されると同時にPCCグループの二人が現われ、オキテの説明を行った。中でもとりわけ厳重に言い渡されたのは、面会に来る女性の顔を絶対に見ないこと。また収容房内での囚人同士の会話を聞かないことで、たとえ耳に入っても他人に口外しないことだった。
さらに幹部が収容されている房に近づかないことはもとより、注視したり囚人らの出入りを見ないことを注意された。またPCCグループは初対面者に疑い深く、罪状や住所など根ぼり葉ぼり質問したという。しかし態度は紳士的で口調も穏やかだった。さらに体調を気遣い、何でも相談に応じるとの態度を見せたとのこと。
無実が証明され釈放が決まった前日、男性は禁を破って幹部の房を思い切って訪ねた。八日間世話になった礼を述べるためだ。幹部らは快く迎え入れ握手を求めてきた。男性は入所の折に持参した新品の衣服をすべて与え、彼らの使用済みの服を着て出所した。別れ際に幹部が他の囚人に与えるため、さらに衣服が欲しいと言ったことから男性は差し入れを約束したという。PCCは貧困者に支援の手を差し伸べて地盤を強化しているが、この男性もシンパとなり、また一人協力者が誕生した。