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一般投票と評論家選出で大違い=ムウチショウ賞の受賞者発表

 28日、ブラジル音楽界の中で貴重な賞のひとつに数えられている「ムウチショウ賞」の授賞式が行なわれた。
 この賞は、ブラジルのテレビ・チャンネル「ムウチショウ(MULTISHOW)」が1994年からはじめた音楽賞だ。ムウチショウは、ブラジル国内で行われるロック・イン・リオやロラパルーザなどの大型フェスティバルを1日中生放送することで知られる、国内の音楽好きには人気と信頼のあるチャンネルだ。
 この賞の受賞者は基本的に、このチャンネルの視聴者による投票で選ばれる。近年の傾向としては「ブラジル版カントリー」のセルタネージャと、サンバのモダン版の「パゴージ」が選ばれることが多いが、今年もそれは同様だった。
 セルタネージャからは随一の人気アイドル、ルアン・サンタナが「トゥード・オ・キ・キゼール(「お気に召すまま」の意)」で最優秀楽曲、パウラ・フェルナンデスが最優秀女性歌手賞を受賞した。パゴージからはチアギーニョが4年連続で最優秀男性歌手、ソリーゾ・マロットが2年連続で最優秀グループに選ばれたほか、イベッチ・サンガーロが最優秀コンサートを受賞した。
 また、グローボ局の大人気オーディション番組「ザ・ヴォイス・ブラジル」の優勝者となったサム・アウヴェスが最優秀新人賞を受賞した。
 だが、ムウチショウ賞はこれだけではない。この「一般投票部門」のほかに、批評家が選ぶ部門が存在する。この部門は2011年から採用された。それは、一般投票になると、セルタネージャやパゴージといった、曲を作る人と歌・演奏を行なう人が別のケースがほとんどのジャンルに受賞者が偏ってしまい、自作自演の本格派に受賞のチャンスがなくなってしまうからだ。
 この問題は、ブラジルで90年代にセルタネージャとパゴージのブームが起こって以来ずっと危惧されており、MTVではこの二つのジャンルはオンエアの対象外にさえなっている。
 そこで今回選ばれた批評家賞だが、ここでもかなり通好みな作品や音楽家が選ばれている。まず最優秀アルバムには、ロックバンド、ロス・エルマーノスのリーダー、マルセロ・カメラが人気女性歌手のマルー・マガリャンエスと組んだ音楽ユニット、「バンダ・ド・マール」のデビュー作が選ばれた。
 また最優秀新人には、ブラジルより先にアメリカでデビューし、逆輸入で話題を呼んだゴイアス州のバンド、ブーガリンズが受賞。最優秀楽曲には、リオ出身のテクノ系のバンド、マームンディの「センチメント」、そして最優秀コンサートには、ブラジルのヒップホップ界が生んだ伝説のグループ、ラショナイスMCSが選ばれた。
 このように、全く対照的な一般投票部門と批評家部門を共に見ることでブラジル音楽の幅広さを見るのも面白いだろう。(28日付グローボ局サイトより)