ホーム | 日系社会ニュース | 帰伯者が日本の大衆料理導入=お好み焼専門店等を開業=08年大量帰国以後続々と
自慢のお好み焼きを手に店主の簗瀬さん
自慢のお好み焼きを手に店主の簗瀬さん

帰伯者が日本の大衆料理導入=お好み焼専門店等を開業=08年大量帰国以後続々と

 かつてお好み焼き専門店といえば、サンパウロ市エステダンテ街の『道頓堀』が有名だったが閉店して久しい。そこへデカセギ帰りの簗瀬マルセロさん(40、二世)が先月8日、新たに『焼き屋』をオープンした。同店主はデカセギ時代に味わった本場の味を当地で再現しようと奮闘中だ。伝統的で高価な寿司、刺身、天ぷら以外の日本料理、いわゆる大衆料理をデカセギ経験者が当地に導入する流れが定着しつつあるようだ。

 デカセギ帰伯者がサンパウロ市で始めた日本食店としては、讃岐うどん専門店(10月15日付け詳報)以前にも、日本を真似た『弁当屋』(Rua Garvao Bueno,395、12年1月営業開始)、日本式クレープ屋『Hachi』(Av. Liberdade, 326)などがあった。リーマンショックで大量帰伯した流れを受けてか、彼らが日本で愛した大衆文化を導入するという新しい流れが生まれつつあるようだ。
 『焼き屋』はガレリア入り口のわずか2畳、小さな〃日本食店〃というより屋台に近い。鉄板、作業台、小型冷蔵庫が所せましと置かれ、流し台や会計レジなどは向かいの店舗と共有だ。4人分の立ち食いカウンターもある。
 柳瀬さんは98年に訪日就労し、様々な仕事を経た後、流暢な日本語を活かしてデカセギ向けのフリーペーパーを発行する雑誌社などに約10年務めたが、08年のリーマンショックの影響で帰伯した。
 広島風お好み焼きの味が忘れられず、日系の友人とお好み焼きを求めて幾つかの店を回った。しかし満足出来ず、「ならば自分たちで作ろう」と研究を始めた。うわさを聞きつけた友人らに試食させてみたところ高評価をえた。更に8月のアルジャー花祭りにも屋台を出したところ好評だったため開業を決意した。
 『焼き屋』のお好み焼きは薄切りベーコンの上に、出汁と千切りキャベツを混ぜ込んだ生地を重ねる。その上にごま油とソースで味付けした焼きそば(インスタント麺)、焼き崩した玉子を乗せ、日本風特製ソースとマヨネーズ、鰹節、青ノリ、白ゴマを振りかけて完成。こってり味でブラジル人に人気。大20レアル、小16レ。
 生地に出汁とキャベツを混ぜる所は大阪風、焼きそばと玉子を乗せる所は広島風にと既に、独自の〃融合〃を遂げている。「将来は大きな鉄板を厨房とカウンター席で挟む日本式のお好み焼屋をやりたい。しかし当面はお好み焼自体の認知度向上が目標です」と語る。お好み焼ブームの火付け役となるか(『焼き屋』住所=R. Galvão Bueno, 377▼営業日=水曜日を除く午前11時~午後6時まで)