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勢力拡大続けるPCC=一夫多妻の幹部=貧困者支援し基盤強化=刑務所で売春婦と堪能

2006年7月7日(金)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二日】PCC(州都第一コマンド)が五月に始まった警察当局への一連の襲撃事件で、〃宣戦布告〃して以来、当局も全力をあげて撲滅に向けて活動しているが、捜査段階でこれまで知られていなかった意外な事実が明るみに出た。七〇〇人以上に上る幹部が逮捕されているにもかかわらず、ますます勢力が拡大している理由は何か? 調べによると組織はファベーラ住民にミルクや食料を配布して生活を扶助し、住民は犯罪の手助けや麻薬梱包などの内職をして固い絆を保っている。未成年者は麻薬密売で破格の収入を得ている。組織構成員は二万人とも言われているが、予備軍と呼ばれる準構成員を入れると三万人以上に達するとみられている。女性らは構成員の愛人となるのを夢としている。幹部クラスはハーレムのような生活をし、獄中の大幹部は好みの売春婦を面会の名目で呼んでセックスを堪能している事実も明らかになった。
 サンパウロ州保安局が裁判所の許可のもとに州内三五カ所の服役囚三万二〇〇〇人のうち、PCCメンバーとされる囚人の携帯電話のやりとりを盗聴した結果、幹部が大っぴらに売春婦を呼んで房内でセックスを楽しんでいることが明らかになった。
 面会の権利があるのは妻および恋人あるいは愛人で、六カ月以上同棲していたことを実証しなければならない。しかるに一面識もない売春婦が出入りしていることは驚きをもって迎え入れられている。幹部連中が獄中で好き勝手なふる舞いをしていると噂されてきたが、ここまでという感がする。
 当局では刑務官との癒着が原因とみている。幹部とPCCメンバーでもある売春あっ旋の女性、つまり遣り手ばばとの電話のやり取りによると、幹部は事前に携帯電話で売春婦の写真数枚を受信しており、その中から気に入った一人を指名している。料金は二日間居続けで二〇〇レアル。普通面会は一日限りだが……。
 PCCの幹部やグループリーダーらはシャバにいる間は複数の女性を抱えてハーレムのような生活をしている、妻は第一夫人と呼ばれ、恋人は第二夫人、愛人は第三夫人とされている。それぞれが認知しているが、権力と金のおこぼれに預かることからいさかいは起きないという。
 彼女らは充分な手当てを受取り、衣服や子供の養育にぜい沢三昧な生活をエンジョイしている。とくに組織の中で幅を利かせ、下部構成員から〃姐さん〃と一目置かれるのがたまらないのだ。このためファベーラの若い女性は構成員の目に止まるように日夜努力している。
 PCCは女性に限らずファベーラの住民も支援している。貧困家庭には日用必需品などを無料で配布している。特にファベーラの出入口に近い家族は警官隊との撃ち合いなどでリスクが大きいことから面倒を見ている。これにより住民は警官や関係者以外が近寄ると組織に通報する。こうして共存共栄を確立することが不滅のPCCとなっている所以である。
 ファベーラの住民はこのほか、麻薬の梱包作業に従事し代金を貰っている。少年らは麻薬密売にたずさわり、予備軍を形成している。学歴もない青少年らの雇用が困難な中、PCC組織内ではすぐにでも職にありつけるのだ。PCCの構成員に限らずファベーラの住民が病気になったりすると、組織が薬代を授けてくれるという。PCCはファベーラでは必要悪に定着している。
 いっぽうで、麻薬密売の利益を保管するPCC銀行が存在することも突き止められた。幹部からの指令で構成員の上納金がこれまでの毎月六〇〇レアルから一〇〇〇レアルに引き上げられたことから、さらに資金が豊富になる。この銀行は組員に対し無担保無保証で貸付を行っている。当局が押収した帳簿によると、昨年六月での貸付金額は計五八万五〇〇〇レアルとなっていた。首領格の通称マルコーラ(服役中)も二〇〇四年十二月に一万八〇〇〇レアル借り出している。