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日系農協実態調査を開始=JATAK=日伯の農協間貿易にらみ=農拓協に委託、今月中旬から=対日輸出新品目を開拓

2006年7月7日(金)

 四月にロドリゲス農務大臣訪日、五月に中川昭一農林水産大臣が来伯するなど農業界のトップレベルが交流を進め、エタノール関連はじめ日伯間の農業関連交易が盛り上がる兆しを見せている。そんな中、日伯の農協間貿易を増やそうと、全国拓殖農業協同組合連合会(JATAK)が今年から中期計画「二国間農協連携促進事業」をはじめた。その第一弾として、ブラジル農業拓殖協同組合中央会(農拓協)に委託して、七月中旬から全伯の六十三日系農協を実際に訪問調査することになった。
 今回の日系農協実態調査は、〇二年から農拓協が行った調査で判明した六十三農協や日系農家のデータを踏まえ、実際に訪問してアンケート形式でより詳細な情報を集めるもの。
 サンパウロ州グアタパラ移住地にあるJATAK農業技術普及交流センター情報部の田中規子研究員と、農拓協の平延渉嘱託調査員が約三カ月間かけて各農協を回るとともに、各地で紹介を受けた農家の調査なども行う。
 調査内容は、面積や組合員数、特産品、活動などといった基礎データから、対日輸出に関する必要な支援、疑問点、要望など。各農協の意識調査も兼ね、日伯間の新しいビジネスチャンスを探ることが目的だ。
 すでに注目されているエタノールや大豆などの大規模農業だけでなく、各地域レベルで生産されている独自品目で、新しく日本へ輸出できそうな農産品開拓の可能性を探る。
 JATAKはこの調査結果を踏まえ、日伯間の農協間貿易の増加、特に対日輸出を側面から支援する。貿易手続きの仲介という形ではなく、輸出が期待できそうな農産品の専門家を日本から呼んだり、現地リーダーを先進地に派遣しての研修などの支援事業が考えれている。
 田中研究員は、「季節が逆という利点や日本的な加工品がすでに製造されていることを考えれば可能性は大きい」と話し、「要望や疑問を寄せてほしい」と各農協関係者に呼びかける。
 「二国間農協連携促進事業」は今年からJATAKがはじめた中期計画の柱のひとつで、五年後には輸出増などの一定の成果が生まれることを見込んでいる。
 農拓協には全伯の日系農家の調査を実施した実績があり、今回委託を受けた。近藤四郎農拓協会長は、「将来の日伯関係に大きなチャンス。農協間の連携にも繋がれば」と期待を膨らませている。