2006年7月5日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】選挙高等裁(TSE)は三日、連邦会計検査院(TCU)から二九〇〇人分の違法取引報告書を受け取ったと発表した。同報告書は別名「立候補失格者リスト」と呼ばれ、公的機関で行政活動に従事しながら不正入札や水増し請求などで公金を横領した犯罪者リストである。この中には、次期総選挙に立候補を届け出た元知事五人と現職市長や元市長一五〇〇人、裁判官九人などが名を連ねている。立候補者が告発に対し裁判所へ抗弁を申し立て、受理されれば、立候補者の資格は認められると公職選挙法に記されている。
国家公務員による過去五年間の犯罪者リスト二九〇〇人には、ロライマ州のカンポス元知事やアクレ州のマガリャンエス元知事とメーロ元知事、アマパー州のバルセロス元知事、トカンチンス州のアヴェリーノ元知事、元閣僚のマグリ氏、コーロル元大統領のロザネ夫人、ニコラウ・サントス元裁判官などが名を連ねている。
総選挙に先立ち恒例の悪徳立候補者リストが、TCUのモッタ長官からTSEのメーロ長官へ提出された。二九〇〇人のうち不正取引に関与した局長以下は氏名を上げていない。公金の管理権限を委任され、横領や背任行為が明らかな場合のみを記載した。
TSEやTCUの努力にもかかわらず、議員自らが一九九〇年に制定した議員法六四/九〇号で、国会議員は犯罪者リストから除外できるという不合理な法律ができた。同法によりTCUが立候補者を有罪と告発しても、立候補資格を取り戻すことができる。
国会議員は告発を不服として裁判所へ異議申し立てを行い、事務員がポンと受理のスタンプを押せば、TSEは異議申し立てを撤回できない。ブラジルの政治改革は夢のまた夢といえそうだ。
同法は悪法である。国民が理想の国ブラジルを夢見ても、同法が嘲るかのように国民全員の努力を水泡に帰する。詐欺や横領、脱税はもちろん、殺人教唆、汚職共謀、全ての不法行為で政治家が告発されても、収監中の政治家も前科のある政治家も選挙に立候補も再出馬もできる。
検察官らは、不都合な判例ができ、法の効力が著しく制限されることを憂慮している。最近の例では、選挙に向けた公共機関による立候補者への便宜としてTSEが五日間の一定期限を設けたことだ。二〇〇四年の地方選挙では多くの議員が、選挙法の虚を突いて公共機関を私物視しながら選挙法違反を免れた。
国民は政治家の不罰特権を嫌悪している。日常茶飯事のいさかいや商取引への政治家の関与が、国民の気がかりである。政治家が一枚かむと横車を押し、筋が通らなくなる。悪法改正には国民レベルの盛り上がりがないと、同法の改正は困難だ。
軍政時代は、全て訴訟中の人間から立候補資格をはく奪した。従って軍政時代は同法が悪用され、立候補から引きずり下すため濡れ衣を着せた。連邦令六四号はその悪習を是正するため制定されたが、今度は悪徳政治家によって悪用されている。唯一の望みは、最高裁が司法の何たるかを国民に見せてくれるかどうかだ。