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年金制度改革で呉越同舟=20年から支給開始65歳へ

2006年7月5日(水)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙四日】次期大統領の本命候補と評される現職ルーラ大統領と前サンパウロ州知事のアウキミン氏の所属政党、労働者党(PT)とブラジル民主社会党(PSDB)は、両党とも大統領選を制し政権を獲得した後、年金制度改革に取り組むことを検討している。しかし国民生活に直結する微妙な問題であるだけに、両候補とも選挙運動期間中は改革の詳細には触れないとみられている。
 両党の政策担当者によると、同制度改革は、二〇二〇年以降年金支給開始年齢を六十五歳以上へ引き上げと、労働市場で正規雇用を促進するための法整備の二本柱からなる。支給総額を抑制し、年金保険料の徴収を増やす二面作戦で、持続可能な年金制度の確立を目的としている。年金部門の赤字は今年一月から五月までの間に三三億レアルに達し、制度は危機的状況にある。
 しかし、年金支給開始年齢の引き上げには憲法改正が必要で、それには議会で三〇八票の賛成を得なければならない。議員の同意取り付けには時間がかかるため、当面は憲法改正を行わずに済む範囲内で制度改革が進められるとみられる。
 現在年金支給額は、労働者の年齢、保険料の支払い年数(男性は最低三十五年、女性は同三十年)、平均寿命を考慮して算定されている。一九九九年以前に平均支給開始年齢は男性五十四・三歳、女性四十九・七歳だった。ブラジル地理統計院(IBGE)は〇四年の調査で、高齢化の進行を明らかにしており、このペースで行くと、二〇五〇年には高齢者(六十五歳)の数が生産活動人口を抜くと警告を発している。