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日本移民の組合精神とともに=CEAGESP=創立40周年祝う=南米最大の食料基地に

2006年7月5日(水)

 南米最大の食料配給基地、CEAGESP(サンパウロ州中央青果市場=以下、セアザ)の創立四十周年を祝う式典が六月三十日午後、同センター内講堂で行われ、約二百人が節目の年を祝った。同センターが現在のように世界で五指に数えられる人口を抱える大サンパウロ圏の台所を支える存在となるまでには、日系組合や農家の貢献抜きには語れないとの認識から、日系社会を代表して内海アメリコ氏(元コチア産組副理事長)ら六人が顕彰された。現天皇皇后両陛下が除幕した記念碑のある日本庭園を改修する計画とその模型が公開され、〇八年に向けて完成させる予定と発表された。
 「六七年に日本人が見せた先駆者精神が、現在のセアザのもとになった」。最初に両国国歌を斉唱後、セアザのフランシスコ・カジュエイロ会長があいさつし、この四十周年を振り返るとともにそう称えた。
 続いて、ルイス・ラモス同理事は「日系組合なくして農産物の豊富な種類、品質、量はありあえなかった。日系コロニアは重要な役割を果たした」とその貢献を語った。
 サンパウロ市セントロの市営市場(カンタレイラ)が手狭になり、現在のヴィラ・レオポルジーナ区に移転した。当初は郊外だったため、生産者などが使いたがらず、日系組合が率先して模範を見せることにより、ようやく機能し始め、現在の基礎を築いたとされる。
 同会長から、日系社会を代表して内海元コチア参組副理事長に記念プレートが贈られた。さらに創立期から現在までボックスを構える日本人仲買商で、清原第次郎さん(86、熊本県)、松永博也さん(83、福島県)、大木三郎さん(81、福島県)、鈴木克美さん(66、茨城県)の五人が顕彰された。
 「最初は九〇%が日本人だったよ」。ニッケイ新聞の取材に対し、清原さんは懐かしんだ。今はなき産業組合中央会で働き、独立してセアザの創立時からボックス(仲買店)を構え、今は息子に譲った。
 トマト一筋。野菜のパピリオンには三十四のボックスがあるが、「初め、外人は二人だけ。あとはみんな日本人だった」と振り返る。「今は日本人は三人だけ。逆になったな」と笑う。
 式典で、返礼に立った内海氏は「サンパウロがうまくいった後、全伯に同様のセアザが作られるようになった。ここは全国のモデル、その原型を作ったのは日本人移民の組合精神だった」と強調し、日本人が導入した野菜や果実の名前を列挙した。「それまで不可能とされてきたリンゴ栽培を成功させ、亜国を絶望させたのはコチアの功績」。さらに「百周年に向けさらに農業界の発展に尽くしたい」と締めくくり、西林万寿夫サンパウロ総領事も祝辞をのべた。

日本庭園改修計画も

 式典後、駐車場と時計塔の間にある日本庭園へ移動。ブラジル大神宮の藤好諒山宮司と中司裕子禰宜により、現両陛下が六七年に除幕した皇太子殿下皇太子妃殿下御来場記念碑の禊(みそぎ)払いが厳かに行われた。セアザの教育プロジェクトに参加する子供ら約三十人が黄緑旗と日の丸の小旗をふった。
 この日本庭園は、現在は半ば放置状態になっているが、式典のコーディネートを担当した加藤恵久さん(元コチア参組蔬菜果実部長)によれば、「〇八年に向けて日系社会が改修する予定」という。その模型が披露された。