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米国にたてつくのは愚か=外交面で相違のブラジルと中国

2006年6月28日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】スペインで開催されたゼミで、ルーラ大統領はソラナEU外交委員長に対中外交の教訓を指南した。それはルーラ大統領が中国とインド、南アフリカの間で政治同盟を結ぶため北京を訪れた話である。これはソラナ委員長の内緒話だ。
 このエピソードは、中国の国際政治に対する見方で、ブラジルと大きな相違があることを物語る。同時に、地政学の相違と国際問題のベテランのしたたかさである。中国はアジアの潜在的ボスで、考え方は超現実主義である。
 中国は経済面では現行路線を継続、同盟などを築き、冷戦時代のような無用のライバルを作らない考えだ。中国は政治犯の拘束や欺まんの構造を隠しながら、近代化に奔走している。東洋と西洋の区別や、先進国と途上国という南北格差に中国は共鳴しない。
 中国の温首相は前任者の述懐などから、ルーラ大統領の思想を熟知している。資本主義国家は自国の政治改革や構造改革ができない後進国など相手にしないことを首相はよく知っている。そのような状況の中、中南米の左翼政治家が唱えていることは、愚かな抵抗であると考えている。
 中国政府の指導部は、経済政策や外交政策を大きく軌道修正した。中国国民は豊かになった。毛主席が一九七六年に死去すると、中国には情報が入り始めた。党指導部は香港や台湾、シンガポールが経済的に跳躍したことに目をつぶることができなくなった。
 開放経済と私有財産が認められたことで中国国民は、グロバリゼーションを待ってましたとばかりに大歓迎した。それからの中国国民の変わりようは、PT教の狂信者と貧乏人同盟で結束し、赤い旗を振って首都をデモ行進するブラジルと全く反対である。
 温首相はルーラ大統領の招待を丁重に断った。中国にとって米国にたてつくブラジルの政治は、ナンセンスである。米中関係は極めて良好である。中国は対米関係のお陰で三億人の下層階級が中流階級へ仲間入りした。消費市場は大きく成長した。伯中同盟を結んでワシントンと対決するなど、ルーラ大統領の頭の構造を疑うという。