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ハンモックで村おこし=失業ゼロ、次の目標は輸出=パライーバ州

2006年6月28日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】パライーバ州サンベント市は、人口三万人のハンモック生産都市、州都ジョアン・ペッソア市から四〇〇キロメートル離れたセルトン(僻地)にある。ハンモックなら大小、超高級品から一般品まで選り取りみどり。値段は直販価格または卸価格。
 町を歩くと、裏庭の片隅に設えた作業場でハンモックを織る織機の音が八方から聞こえる。繊維の染色は女性の担当で、家の周囲至るところで直射日光で乾燥している。仕上げの手編みも家族総出の仕事。
 街中は製品や半製品を運ぶバイクがひんぱんに往来。ハンモックを満載したトラックが、ブラジル全国へ向けて出て行く。刑務所でも受刑者はハンモックつくりで忙しい。給料はもらえるし、減刑もされる。
 市民の八〇%がハンモックつくりに就労し、失業者ゼロが同市の誇りである。
市内をトヨタやホンダの高級車が行き交うのを見ると、経済力にも恵まれている。最近は近隣都市からも通勤する人が増えた。市民は斬新な製品デザインを求めて旅行をする。次の目標は輸出である。
 ブラジル北部や東北部ではベッドでなく、ハンモックで寝る。日常の寝具なのだ。南部や南西部では、マントやソファの掛け布が売れる。同市のホテルは、スイート・ルームに冷蔵庫やTVはあってもベッドはない。ベッドでは寝つけないというのだ。
 ハンモックつくりの草分けは、大工のアントニオ・ルーシオさんが自家製の織機を造ってハンモックの行商をしていた。瞬く間に裕福になり、町の人たちの注目を引いた。ルーシオさんの息子は、本格的な織機を購入し、大量生産を始めたのがことの起こりらしい。

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