2006年6月28日(水)
サンパウロ人文科学研究所が日本人移住百年を記念して刊行している『人文科学研究叢書』の「ブラジル日系コロニア文芸(上巻)」出版記念会がエスペランサ婦人会(文協ビル五階)で二十四日午後二時から開かれ、関係者ら約三十人が出席した。
会場では、本の販売も行われ、執筆した清谷益次、栢野桂山の両氏は一人一人と握手しながら、サインも行った。
清谷氏「すべて書き終えた」
栢野氏「血と涙の俳句史」
清谷さんは、「私のこだわってきたことは書き終えたとひそかに喜んでいる。今回の本が最後になるという気持ちで書いた」とあいさつ。
栢野さんは、「コロニアの足跡、文化を残す作業として取り組んだ。血と涙の俳句による歴史を重要視した」と執筆にかけた思いを語った。
来年の刊行が予定されている「ブラジル日系コロニア文芸(下巻)」の執筆に携わる安良田済さんが乾杯の音頭を取り、出席者たちは両氏を囲んでの歓談を楽しんでいた。
清谷さんに十三年師事し、本紙ニッケイ歌壇の選者でもある小野寺郁子さんは、「技巧はなくても虚飾のない真心から歌ったものがコロニア短歌、俳句の特徴。その歴史がまとめられた今回の意義は大きい」と話した。
移民たちがその生活のなかでの心情、哀感、喜びを綴ってきた俳句、短歌の歴史をまとめた一冊。コロニアを知るために最良の書ともいえそうだ。
定価三十レアル。詳しくは人文研(電話=11・3277・8616)まで。