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「該当者なし」に疑問の声=百周年テーマソング=首ひねる音楽関係者=「選考会いつあったの?」

2006年6月27日(火)

 すでに開催当日まで二年を切ったブラジル日本移民百周年記念祭典。会場となるサンボードロモ、ブラジル各地で開催される記念行事で響くであろうテーマソングの選考に関し、すでに不協和音が聞こえてきている。募集は今年二月二十日で締め切られたが、選考結果を明らかにしないまま再公募を行う協会に対し、困惑の色を隠せない応募者たち。取材を進める中で、図らずもコロニアと協会、そして協会内部の齟齬が明確に浮かび上がってきたようだ――。

■当惑する関係者

 「百周年って名前がついてる団体がいい加減なことしちゃいけないよね。募集だけしてほったらかしなんて…」。
 そう苦笑いしつつも首をひねるのは、コロニアを代表する音楽家、島田正市さん(全国カラオケ指導協会ブラジル総本部長)だ。
 島田さん作曲、蛯原忠男同協会理事編曲、河合節子さん作詞による「輝ける祭典(ありがとうブラジル)」が同協会関係者により応募されているが、現在まで協会側から何の発表もない状態が続いている。
 この曲は昨年末にあったグラン紅白歌合戦でも披露。「いい曲で関係者の評判も良かった」とコメントする蛯原さんは、昨年末に協会関係者から、「(テーマソングの)選考委員になってほしい」と打診を受けていた。
 しかし、連絡がないまま半年が経過、本紙コラム欄(今月十五日付け本紙七面大耳小耳)の「該当者なしで再募集」を読んで、疑問を感じたという。
 「誰が選考したのか。そもそも選考会はあったのか。少なくとも、経緯などをコロニアに説明すべきでは」と協会の姿勢に疑問を投げかける。

■協会総務委員長の話

 ある祭典委員会関係者は言う。「テーマソングの選考は総務の仕事。祭典委員会はタッチしていないはず」。テーマソングは祭典でも使われるが、あくまで百周年事業全体の〃主題〃を歌うものであり、重要な決定であるとの考えからだ。
 ニッケイ新聞の取材に対し、吉岡黎明総務委員長は、「選考委員会はまだないと思う。二回目の応募が終わってから、構成されるんじゃないですか」。
 なお、選考は祭典委員会の担当との考えを示し、「田中君(田中洋典祭典委員長)に任せてます」。

■再公募、その理由は?

 取材を進めるうち、約二カ月前の四月二十二日に選考会が開かれていたことが明らかになった。
 委員は山川健一、水本すみ子、多田邦治、田口レネの四氏。審査は歌詞のみ。応募作品は二十二編(曲付き三)だった。
 全体的に弱く、百周年にふさわしいものはなかった。全員一致で再公募を決めた――。
 祭典委員会内にあるテーマソング選考委員長を務める大浦文雄副総務委員長は説明する。
 一回目の公募があまり知られておらず、応募作品が少なかったことも理由の一つに挙げ、「今回の委員にも応募してもらい、新たに選考委員会を構成したい。あくまでも歌詞の募集。選考後、曲は専門家にお願いしたい」と話している。
     
 テーマソングを新聞紙上などで公募しつつも、その結果は報告せず、「該当者なし」と再募集。コロニアからの声を無視したかのような大上段な姿勢では、さらなる協力は望めまい。
 と同時に、テーマソング選考がどの委員会の担当であるのかさえ、曖昧な協会の杜撰な体質に甚だ不安を覚えはしまいか――。