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コラム 樹海

 「会議は踊る」ではないが、なんとも長く―長い話し合いではあった。日本とブラジルの地デジTVの交渉である。この方式には日米と欧州の3つがあり、アメリカは初めの頃に脱落し日欧が「我が方が優秀」と競い合ったのだが、TV業界などの推す日本方式に決まったのは喜ばしい。云うまでもなく、日本の方式が海外で採用されるのは初めてのことである▼デジタル化と云っても老いた移民には理解し難いけれども、兎に角―画像が奇麗になり音声も物凄くよくなる。「マルチチャンネル」というのがあって一つの画面で二つの番組を同時に楽しめ、携帯電話でテレビを見られるなどと良いこと尽くめなのだそうな。ただ―。ブラジルでも明日から放送が始まるとはいかない。日本でも東京・大阪と名古屋で放送が始まったのが2003年▼今年から県庁所在地がデジタル化され全国には2011年までかかる。サンパウロやリオは早いだろうけれども、この広大なブラジルに普及させるのにはかなりの時間が掛かると見ていい。それに―プラズマ型TVは大きなものだと8万レアル近いし、この高い値段もいささか引っかかる。それでも松下電器が7月から現地生産をするそうだし、価格も安くなりそうだ▼この日本方式の採用で関連産業市場は200億ドルに達すると見られているが、将来的にはアルゼンチンやチリなどの南米諸国への波及効果も期待できるし、今回の成功がもつ意味は大きい。それにしても、日本の「技術」と「安さ」がブラジルに評価され、日本と南米を繋ぐ絆となり架け橋となったのは嬉しい。   (遯)

06/06/27