2006年6月23日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】ヴァリグ・グループ従業員団(TGV)コーディネーターのマルシラック氏は二十一日、裁判所が期限とする二十三日までに第一回積立金七五〇〇万ドルを調達できないことを明らかにした。この積立金は落札を有効化するもので、TGVは資金協力を内定していたスポンサー三社が当てにならないことを認めた。落札は白紙撤回の可能性があり、TGVは同積立金を調達できる当てがないことを表明した。同コーディネーターは、ヴァリグ倒産の責任の一端が政府にもあり、それで野垂れ死ぬのは従業員だけではなく、政府も道連れにすると訴えた。
ヴァリグ存続を約束した政府の対処は冷淡であったとマルシラック氏は訴えた。同社延命にかけた従業員の努力を一顧だに省みなかった。最悪事態に至るならば、政府による新会社認定の遅れや、取引に支障を来たした政府の責任と行政の怠慢を公表するという。これら政府の緩慢な対応が、スポンサー企業に警戒心を引き起こしたという。
パイロット協会(APVAR)のマロッコ会長は、ヴァリグ再建のため創立した新会社ノーヴァ・ヴァリグに対する裁判所の認定遅れがヴァリグ建て直しの妨げとなり、資金調達のチャンスを逸し、致命傷になったと述べた。政府行政の常軌を逸した緩慢さが、ブラジルの航空業界への投資から国際金融が手を引いた原因とみている。
ブラジルの航空行政の不備がヴァリグにとってマイナス要因となり、航空機と空路確保のチャンスを失ったと関係者はいう。リオ地裁第八法廷のアヨブ判事は、TGVがスポンサーに見捨てられたことを知っていた。第一回積立金を調達できないことも予測した。新会社の入札承認は競売の十一日後であった。これで新会社は資金調達の予定が狂った。承認遅れの責任は後ほど追求される。
空港ロビーで何時出るか分からない搭乗便を待って、多数の乗客がしびれを切らしている。ピーレス国防相は、乗客らに一旦帰宅またはホテルへ戻るよう呼びかけた。外国にも多数のブラジル人が旅銀も枯渇し、飲まず食わずに帰国便を待っている。救いの手を差し伸べる航空会社は今のところ皆無である。
一方、元ヴァリグ傍系で貨物輸送専門のヴァリグ・ログ社の出資者で米国投資ファンドのピーターソン代表が、TGVの入札より一日遅れの二十日夜、五億ドルの入札申請書を提出していた。TGVの積立金が二十三日、履行されなければヴァリグ・ログの入札が再度行われる見通しとなった。
TGVが契約不履行となれば、ヴァリグの非常救済資金二〇〇〇万ドルを立て替えることもヴァリグ・ログは了承。軒先を借りて商売をしていたヴァリグ・ログが、非常時救済の代償に母屋を貰う。
ヴァリグ・ログは、航空機リースの滞納分決済や従業員の給料遅配分も支払う。運転資金の差し水も入れる。当初は三十機で営業を開始する。経営はポルトガル航空が中心となってコンソーシアムを組むと予想される。他に入札していたオーシャン・エアーは断念の意向である。