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10日で10億レアル超流出=ボベスパ=米発金融不安が直撃=6月だけで9・82%下落=不確定時代は8月中旬まで

2006年6月17日(土)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十五日】サンパウロ市証券取引所は十四日、六月初旬の十日間で外国からの投資が一一億二七〇〇万レアル、五月も含めると一五億レアルが外国へ流失したと発表した。世界の金融市場は五月十日以後、米経済の先行き不安を受けて金融不安の暗雲で覆われた。サンパウロ市証券取引所は六月だけで、九・八二%も平均株価を下げた。ただ個人投資家などの投資が依然として二億一八八〇万レアルも買い進んでいるため、辛うじて面目を保った。十五日の金融市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)バーナンキ議長のエネルギー高騰が消費者価格に反映しなかったとする発言を受けて、小康状態を取り戻した。
 五月から始まった外資の引き潮現象は六月も引き続き、売り逃げが続いた。サンパウロ市証券取引所は一カ月以上にわたり連日、売りが買いを上回った。五月十日から世界の金融市場を襲った金融不安は途上国を直撃。震源地の米国はハイテク株が買われて衝撃は吸収され、意外と平穏である。
 十四日に発表された米国のインフレ指数(CPI)は、思惑の〇・二%をわずか〇・一%上回っただけであった。そのためダウは一・〇三%、ナスダックは〇・六五%それぞれ上げた。米経済白書は十四日、減速したもの経済成長は継続中と発表した。
 米経済白書は投資家の間で前向きに受け止められ、外資の流出も減速すると関係者はみている。外資が帰ってくるには、出るより時間がかかり、投資家は慎重になる。
 サンパウロ市証券市場を襲った金融変動の引き潮で、五月九日以降、外国人投資家による今年四月末の投資額一四〇一億レアルの一・八八%が持ち去られた。これは危機でも流出でも市場荒らしでもないとアナリストはいう。二〇〇二年にも同様のケースがあり、サンパウロ市証券所は一日で八〇〇〇ポイントも下げた。これは、投資家の少し大げさな軌道修正という見方もある。
 サンパウロ市証券取引所の動揺は事実だ。一カ月の間に四二〇〇〇ポイントから三二九四一ポイントへ急激に下げた。誰でもブラジルなど途上国への投資は八月まで安定とみていた。不確定時代と読んだ投資家は、直ちにブラジルから資金を引き上げたのだ。
 次はFRBがリセッションを引き起こすような失策をせずに、インフレを制御できるか投資家の関心が注がれている。政策金利の引き上げを示唆したが、五・二五%と予想されている。しかし、その後どうなるのか。不確定時代は次回八月中旬のFRB会議まで続きそうだ。
 金融市場を不安のるつぼに陥れた流砂は、米経済の調整の国際経済への反映である。最初は三カ月程度の変動とみられていたが、六カ月に伸びた。悪くすれば〇七年にリセッションになるかも知れない。
 米国のインフレ目標率は単なる数字に過ぎない。双子の赤字を抱えた米経済は治療が手遅れの状態にあり、ドル通貨の下落は米周辺国の協力で調整しなければならないからだ。次に米政策金利の引き上げは米製品の競争力低下につながり、国際的な金利上昇を招く。国際経済の冷え込みは予想外にひどい。ブラジルの通貨政策は、為替と金利とファンダメンタルズで決めるので、通貨管理はない。投機目的外資の流通管理もないのだ。だから金融変動をもろに受ける。