2006年6月17日(土)
サンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)の定例理事会が十四日開かれ、執行部とほかの理事の間で、三時間以上に及ぶ激論が交された。論点となったのはイッペランジア・ホームの福島庄太郎ホーム長の解雇問題と、援協福祉センターの用地購入に際して、理事たちに十分な説明がなされなかったこと。福島ホーム長の解雇の具体的な理由は明らかにならなかったが、執行部が同氏の運営方法に関して以前から疑問を抱いていた点が背景にあるようだ。
福島さんは、自身の突然の解雇をめぐって、各施設の運営報告の場で具志堅茂信事務局長を名指しで非難。援協に長年関わることができたことに謝辞を述べた後、その胸の内を語った。
福島さんは「事務局長は私に対し『人格形成ができた人間は融通が利かなくてだめだ』と言いました。なぜ施設の代表者が人格者であってはならないのかわかりません」と語り、「上からの命令を素直に聞く『非人格者』が代表者としては適任なのか」と訴えた。
また以前、当初予定されていたJICA青年ボランティアが、執行部の意向でサントス厚生ホームへ異動になったことも大きな不満になったと話した。
これに対し人事委員会を代表して菊地義治副会長が「このようなことは内部で話しあうのが常識。この件を理事会の場に持ち出すこと自体人格者ではない。きちんと文章にまとめて我々に申し立てをして欲しい」と返答した。
続いて同ホームの石橋聖哉経営委員長が「援協は上から命令で動いている。我々下っ端がどうこう言える立場はない。私は来年の三月まではまがりなりにも頑張るつもり。逃げる気はないが」と発言。
重苦しい空気が流れる中、坂和三郎議長(副会長)が「援協の基本精神は人と人の結びつきです。人事の問題は非常に重要な問題。下と上という考え自体はあってはならない。十分に気を付ける点です」とその場をおさめた。
福島さんの件に続いて、援協が五十周年の記念事業として計画を進めている援協福祉センター建設用地の購入の詳細に関して、浜岡政晴理事から不満の声があがった。「同地の購入が執行部の独断で行われ、その説明も一般理事に十分に成されていないのはおかしい」というのがその理由。
援協福祉センター建設用地の購入はこれまで執行部が中心となって進めてきた。その具体的な金額や購入方法に関して理事会でほとんど説明がなされてこなかったのが現状だ。
浜岡理事は「地権の公表さえもない。いつも理事会は事後承諾を求めるだけの場だ。何のための理事会かわからない。勝手に決めるなら役員の個人責任を追及する内規を定めるべきだ」と執行部に訴えた。
これに対し酒井会長は「理事会で一人ひとりオピニオンを聞きたいのはもちろんですが、とても時間がたりない」と返答。「それでも仲良くやっていきたいので、これからはできるだけ皆さんと話をしていきたい」と語った。
援協創立五十周年の記念事業として確実にことを進めていきたい援協執行部としては、この「もめ」は今後、頭痛の種になりそうだ。