ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 選挙高裁=連立規制強化を撤回=02年の制度継続=時期的に不適切と判断=各党幹部、胸なで下ろす

選挙高裁=連立規制強化を撤回=02年の制度継続=時期的に不適切と判断=各党幹部、胸なで下ろす

2006年6月10日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】選挙高等裁判所(TSE)は八日、六日に決定を下した連立規制強化を二〇〇六年の選挙には適用しない意向を表明した。これで〇二年の選挙制度を継続することになる。大統領候補を擁立しない党は、州レベルでいかなる党とも連立が可能となった。大統領候補を擁立する党には、州レベルでも大統領選で対抗する党との連立を認めないことが従来通りとなった。メーロTSE裁判長は、六日の決定が誤りであったと認めた。ブラジル民主運動党(PMDB)や自由前線党(PFL)、ブラジル民主社会党(PSDB)は、連立規制強化決定を不服として控訴するはずだったが、TSEの譲歩で溜飲を下げた。
 朝礼暮改のような連立規制強化であったが、〇六年選挙には適用しないことになった。人間の考える正義は欠陥があるものだとした。〇二年の選挙と同様、州レベルでは連邦レベルと矛盾することもあり得る。しかし、連邦レベルの対抗党は、州レベルでも対抗党であることには変わりない。
 TSEが六日の決定に不具合を感じたのは、自由党(PL)の質問だ。大統領候補を擁立しない党は、州レベルで連立できずに独自で戦うのか。そうなると規制強化は爆弾決定である。PSDBは大統領選でPFLと連立を予定していたが、州レベルのことは考えていなかった。
 PMDBは大統領候補で党内調整がつかず、擁立を断念すると同時に州レベルの連立を任意としていた。PMDBは、任意とすれば十八州で知事を送り出せる勘定であった。
 TSEは、最高裁の規制強化に関する見解を考慮に入れて譲歩した。連立規制は〇二年に発効したばかりで、合理性が今一つである。規制強化はもう少し様子を見てからという進言であった。TSEへ再考を陳情する各党の巡礼行列ができた。TSEの使命は、選挙管理であって、法令を制定することではないとの声もあった。
 TSE判事らは、法的見地から規制強化が誤りではないという。ただ立候補届け出まで二十日と差し迫った時期の決定は混乱を引き起こすと判断した。TSEへの質問はPLだけでなく、カリェイロ上院議長やマガリャンエス上議、サルネイ上議も疑問を呈した。
 四十時間で葬られた連立規制強化に、各党幹部はホッとした。アウキミン候補は、ほとんど決定済みのPFLとの連立が壊れそうになり、けいれんを起こしそうだったという。
 大統領候補の擁立を断念したPMDBは、やっと寝ついた赤ん坊を再度起こした。群雄割拠する同党は、シモン氏やガロチーニョ氏、ヴァスコンセロス氏と天下取りを目指す人材が多い。ルーラ大統領の夢であるPMDBとの正式連立は、ただの夢で終わったようだ。
 TSE譲歩で一難去ったPSDBは党大会を十一日に控え、アウキミン候補とセーラ候補が共闘で専念することになった。前回大統領選挙で苦杯をなめたセーラ候補が、アウキミン候補に選挙運動のコツを指南する。上はマスコミ、下は地盤固めの上下作戦を展開する。下院ビルの乱入事件で労働者党(PT)には、顔がいくつもあることを訴えるようだ。