2006年6月9日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】下院公安警察は七日、MLST(農地占拠自由運動)メンバーによる下院第二ビルへの乱入は、前以って準備された計画的犯行であったと発表した。押収したビデオテープによれば、同グループ・リーダーの一人アントニオ・A・バクェイロが六日、「我々が要求する農地改革を関係官庁に訴える」とアピールしていた。グループは正装し、旅行者を装って下院の正門チェックを通過するように指示された。まず女性二人が警備員と口論し、油断させた隙に二十人が乱入する。拘束者の多くは、首都観光を交換条件に狩り出されたと供述している。
下院第二ビルは祝典会場に使われていた。MLSTは、グループの寄宿場所として同所を占拠する予定であった。MLST幹部が前以て何度も下見に訪れた様子が、下院の監視カメラに録画されていた。下院乱入は計画通りに行われた。グループはお祭り気分で犯行に及び、後難を臆する様子は全くない。
首謀者ブルーノ・マラニョンはどこにも顔を出さず、占拠を計算に入れた物件だったらしい。MLST幹部らは、法令に抵触する「占拠」などの言葉を使わないように訓練された。組織は適材適所を基本に担当の役目が決まっている。世間が何と言おうと、理想に向かって信念を持つ。幹部は時事問題について裏の動きまで精通するなど、ゲリラの基本を叩きこまれた。
ブラジリア観光で上京したMLSTの即席メンバーだが、犯罪人として身柄を拘束された。一同は計画的犯行を否定し、デモ行進参加のため狩り出されただけで、たまたま下院乱入に付き合わされただけと供述。マラニョンを始めとする首謀者三人は、公共器物破損と犯罪組織の構築、未成年教唆、殺人未遂で起訴される模様である。
マラニョンは何も知らなかったという。現場に遅れて到着し、頼みもしないことをしているので止めに入ったと供述した。多くの実行犯らは、テープに録画されているのに共謀を否定した。テープの録画を見せても、自分ではないと言い張っている。
臨時留置場の体育館で一夜を過ごした犯行容疑者五〇七人は七日、パプーダ新刑務所へ拘禁された。同刑務所は未完成であるが、MLSTの新本部として発会式を行った。他に未成年四十二人は少年院へ回される。下院乱入拘束者は合計五四九人。
臨時留置所となった体育館はトイレが少なく、汚物を垂れ流した。悪臭がひどいので、法医学研究所(IML)の身体検査は中止。工事中で吹きさらしの新刑務所に一同は拘束されたが、夜は寒いのに毛布がない。当局はあわてて寝具を集めているが、立派な食事とコーヒー一式は出る。
拘束者のほとんどが家族連れで、まだピクニック気分だ。MLSTに唆された烏合の衆であり、罪の意識の全くない者ばかり。ブラジリアへ行けばルーラ大統領と会話ができると思ってやってきた。到着したらビルのガラス戸に石を投げろといわれ、ちゅうちょした。警察に捕まっても、後は何とかするから心配するなと言われたという。