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ちぐはぐな農業政策=融資などマクロ政策不在

2006年6月7日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】農業生産者が赤字経営で銀行融資を返済できず、農地が差し押さえの憂き目にあい、自暴自棄になっている。国道封鎖や農機具に火を放ち、ブラジリアで抗議の行進を行う一方で、MST(農地占拠運動)の侵略もあり、泣き面に蜂である。
 農業生産者は口癖のように農政不在というが、政府は過去五〇年間、三つの農業政策を試みたと国際貿易研究所(ICONE)が報告書をまとめた。第一が食糧安保である。農業融資と最低価格の保証、コーヒー院や砂糖院のような食糧庁設立、輸入代替を奨励した。
 まず行ったのは熱帯農業の技術開発で、政府は本格的に取組んだ点、成果があった。しかし、政府は補助金制度を廃止し、農産物価格に介入するメカニズムを設けた。農業部門への予算は総額の五・八%から一・八%へ減らした。
 第二は、家族単位の小農政策と農地改革である。予算の一〇%を増額し、五五億レアルをつぎ込んだ。しかし、農村電化や上下水道の敷設、農産物集荷、農業技術の開発、農産物の物流改善、農業保険、農業融資で予算を減らした。
 農業技術のハイテク化により、取り残された多くの小農が離農した。離農した元百姓を呼び戻そうと、小面積の農地を配布した。しかし、計画は失敗した。問題は土地や手間ではなく、小農が営農資金を持っていないことに気付いた。
 中央西部がブラジルの穀倉地帯になったのは、入植者がハイテク農業を消化し、営農資金の融資システムに恵まれたからだ。だからアグリビジネスと小農システムは根本的に異なる。大豆栽培と環境問題も同じ。在来農法とバイテクも同じといえそうだ。
 農業融資の公的資金は、農務省や農地改革省、環境省などが扱い、集中管理が行われていない。原因は為替問題や土地価格、インフラの不備、地権の法的保証、海外の閉鎖的農産物市場とみられている。
 農業不振の原因は、農政不在ではなくマクロ政策不在である。政府は農産物価格の管理で、小売市場にだけ介入し卸市場にはタッチしなかった。マクロ政策があいまいなため、農業分野の傷は深く、回復が益々困難になっている。
 農業融資の決済期限繰り延べは、几帳面な人とズサンな人がいるので二つの問題を引き起こした。農地改革が負担になり、継続か中止の選択に至る。決済の繰り延べをすると補助金を失うので、労働者の採用をやめ、小さな子供を労働力として使う。国際的にはバイオエネルギーや繊維の需要が激増しているのに、マクロ政策不在のため、小農はチャンスをつかめないでいる。