2006年6月7日(水)
【ヴェージャ誌一九五六号】ブラジルとパラグアイを結ぶ友好の橋が最近、かつぎ屋と国税庁、連邦警察の衝突する舞台になっている。国税庁は十五日毎に手入れを行う。これまで国税庁の監督官が現れると脱兎のごとく逃げ回ったかつぎ屋が、発砲し抵抗するようになった。
かつぎ屋の多くは最近、ラランジャ(名義賃貸人)となり仕事のシステムが変わった。友好の橋を一回十レアルで往復を専門とする者。隣接都市まで四〇から一〇〇レアルで運ぶ者に分れている。サンパウロ市やリオデジャネイロ市までトラックの積荷に隠して運ぶと一〇〇〇レアル。
これまでに国税庁監督官十人が草むらへ引き込まれ、袋叩きに遭っている。ある時は道路警察に追われたかつぎ屋のバスがエンジン・トラブルを装って停止、警察がバスの前に車を横付けすると、かつぎ屋らは一斉に警官を襲った。監督官らは同地域居住者が多い。かつぎ屋は監督官の身元調査を行い、家庭内の事情を知っている。
密輸品は多い順にコンピューター、電子部品、煙草、CD、CD海賊版、偽造薬品など。往年のように知人や友人に売り歩くかつぎ屋はなくなり、現在のかつぎ屋は国際密輸組織の一員である。国税庁の監督官や道路警察が下手に手出しをするとチェックされる。
統計によれば、パラグアイから入る密輸品は一二億ドル、国税庁が押収したのは六二〇〇万ドル。二〇個に一個が押収される計算。一個押収されても、十九個の利益で償却できることになる。近隣の都市住民は、かつぎ屋相手の旅館や食堂、密輸品の取次ぎを生業としている。