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貿易黒字の増加止まる=5年ぶり減少に転じる=ドル安と景気回復で輸入増加

2006年6月3日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】打ち続くドル安傾向と国内経済の成長で輸入の増加が顕著となっている。輸入の伸長で、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は累計で、これまでの連続上昇記録をストップし、二〇〇一年以来のマイナスへと逆転した。
 五月度の貿易黒字は三〇億二八〇〇万ドルの黒字を保ったものの、昨年同月比一二・一三%の減少となった。これにより、今年一月から五月までの累計は一五四億六〇〇〇万ドルとなり、昨年同期の一五六億二〇〇〇万ドルと比し一%の減少となった。
 過去十二カ月間の累計では、三月度に四五七億九〇〇〇万ドルと史上最高を記録したものの、四月に入ってかげりを見せ、四五〇億一〇〇〇万ドルに減少、さらに五月も二カ月連続の減少に転じて、四四五億七〇〇〇万ドルとなった。
 経済アナリストらによると、ドル安が輸入に拍車をかけており、消費財のほか工業用原材料に及んでいると指摘する。一般消費者の間でも富裕層は高級輸入車や外国製電気製品を買い求め、貧困階層も国産品より安い衣料品や靴などを買い求めて輸入品の需要を高めていると分析している。
 いっぽうで輸出は、業者の輸出指向はいぜんと高いながらも、従来と比べてそのリズムは下降線をたどっている。鋼板は国際価格の下落が原因だが、ほかの自動車、自動車部品、エンジン、携帯電話、トラック、航空機などは軒並み国際競争力の低下が原因となっている。
 産業開発省によると、今年五月までの輸入総額は二七八億五〇〇〇万ドルに達し、昨年同期比二二・一%増だった。これに対し輸出は四九四億六〇〇〇万ドルで昨年対比一三・八%となり、近年まれに見る小幅な伸び率となった。
 全国工業連盟(CNI)の調査では、二十六業種分野のうち十六部門が、昨年に引き続き原材料の輸入を行うと表明している。国産品よりも割安となり、コスト削減に不可欠としている。とくに一二六四社に上る中小企業の三割はこの方針だが、それでもドル安で輸出は減少すると予測している。

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