2006年6月2日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】保健省を舞台とした救急車スキャンダルで複数の国会議員が関与した疑惑が深まっている中、ソウザ連邦検事総長は三十一日、最高裁に対し十五議員を起訴し、取調べ捜査の承認を申請した。
このほかにも灰色議員の名が挙っており、これが承認されればさらに捜査の手を広げる意向を示している。これにより本格的なメスが入る。
これと並行して国会内でも緑の党(PV)を中心とした野党の間で議会調査委員会(CPI)設置をめぐる動きがあり、署名運動を展開しているが、CPI捜査が長期間に及ぶことから、選挙の本番を前に議員らは「それどころではない」と拒否反応を示している。
このためCPI設置は困難とみられ、捜査は検察の指揮のもと連警に当面委ねられる。野党では検察とは別個に十五人の疑惑議員を追及したいとの意向を示している。
事件はマット・グロッソ州に本社を置くプラナン社が自社製の救急車および機材を市衛生局に納入すべく、議員が保有する保健省予算の配分を悪用、代金を水増し請求して国庫からだまし取り、議員ら関係者に賄賂を支払っていたもの。贈収賄は二〇〇一年から行われ、同州を皮切りに全国に広がった。
同州検察が内偵を続けて摘発したもので、賄賂総額は一五〇万レアルに上るとみられている。同州検察の電話盗聴やプラナン社の会計帳簿などから、検事総長は立件可能として起訴に踏み切った。国会議員の捜査には連邦最高裁の許可が必要なことから、その承認を申請した。
起訴された議員の中には清廉であるべきはずの宗教議員や国会書記の要人も含まれている。中でもカピシャバ議員(ブラジル労働党=PTB)には、二十回にわたり計四四万レアルが手渡されている。さらに電話記録ではプラナン社長を「アミーゴ」と呼び、同社長は「パトロン(ボス)」と呼んでいることから事件の黒幕とみられている。
このほか、ほかの議員から第三者の口座に賄賂を振込む内容の電話記録も多くあり、汚職が多岐にわたっていることを裏付けている。