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伯企業の外国への投資増加=産業の国際化定着=経済停滞からの逃避でない=途上国中4番目に

2006年5月31日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】中央銀行のメイレーレス総裁は二十九日、ブラジル企業の外国への投資が二〇〇一年十二月の五〇〇億ドルから〇五年九月に七一六億ドルとなり、四四%の増加と発表した。これだけの投資はブラジル経済の安定度を示すもので、経済成長率が低いための逃避ではないと同総裁は主張した。フィオッカ社会経済開発銀行(BNDES)総裁は、ブラジルが外国への投資で途上国中四番目にまで発展し、ブラジル国内の産業の国際化が定着しつつあるとした。しかし、産業の空洞化の進行も事実である。
 ブラジル経済は資本を輸出するまでに発展し、それは財政の基礎が安定していることを示すと中銀総裁が述べた。マクロ政策の面から見ても、これだけ外国への投資ができるのは、経済の成長を示すという。産業の空洞化はグロバリゼーションのすう勢のようだ。空洞化の跡を埋める新しいパワーが生まれるかどうかが、今後の焦点になる。
 現在検討中の為替政策の変更は、景気回復の手段ではなく、制度改革による為替システムの近代化が目的であると総裁は説明した。為替問題ばかりでなく世界経済の冷え込みが予想されており、市場の後退に備えるよう注意を喚起した。実際に予想するほど深刻ではないかも知れないが、世界経済が調整期に入ることを通告した。
 景気後退の予想は、二十六日にコモディティ(必需品)先物市場で一部陰りが見えたからだ。〇七年は、輸出低下による収入減を覚悟せよという。この兆候が傾向に発展するかの判断は時期尚早。ただ、それに対応するための態勢の準備は必要と警告した。
 多くの企業は経済が停滞する国内に見切りをつけて外国へ移転するという見方に総裁は反論した。ブラジルは〇六年、平均で三・七%の経済成長率を達成すると総裁はみる。遅ればせながらブラジルの産業は、ようやくグロバリゼーションの歯車にかみ合い始めたとみている。そこには国際競争力や関税問題など、乗り越えねばならない難問が山積している。
 ブラジル生まれの多国籍企業は、絶対数では少ないが急増したのは事実である。これら企業は配当金やロイヤリティをブラジルへもたらす。多くの企業は、外国の有利で安価な資金を調達できるようになった。これはブラジル政府のマクロ政策がリスク評価会社により高く評価されたためだとしている。
 ブラジルのマクロ政策が政府経費の浪費を抑制し、民間企業の成長に妨げとならない水準に達したと国際金融が判断したからだと総裁は考える。さらに特筆すべきは、過去一年間の好調な輸出で労働者の平均所得と雇用創出に成果があり、ブラジル経済の安定を見事に示威したことだという。
 途上国中、ブラジルは四番目の外国への直接投資国となったと国連貿易開発会議(Unctad)が発表した。トップの香港を始め、シンガポール、台湾に続くものとなった。BNDESは、国際化に賭けるブラジル企業を応援すると発表した。ペトロブラスやヴァレ・ド・リオ・ドーセはBNDESの支援を必要としないが、新進の外国進出企業の台頭を同行は期待している。

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