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チェックアップの重要性と指針=援協総合診療所内科医=南利実=連載(最終回)

健康広場

2006年5月31日(水)

 人間ドッグが有効な病気の一つに骨粗鬆症があり、女性に目立ちます。骨のカルシュウムの質量を喪失。骨組織を虚弱にし、骨折の危険にさらすもの。生命自体に問題ありませんが、生活の質を低下させます。
 治療は困難。経費もかかり、効果的な結果を望めない。ゆえに薬物治療より予防が重要でチェックアップが貴重な役割を担います。
 男性にもある病気。男女比は一対七ですが、男性は女性より十年遅れて起こり進行速度も女性より遅い。
 骨量の減少は更年期から始まるとは決まっておらず、女性ホルモンの生理的バランスが崩れ始める頃からだといわれています。この年頃に近づいた女性は一度骨密度計(デンシメトリア)で骨の状態を知っておくことでしょう。
 更年期が約五十歳で起こるなら、骨密度減少率の速度は十五年間続き、六十五歳が頂点になる。骨量の減少にはホルモン不足、内分泌病(甲状腺)、生活習慣などの要因が加わります。
 骨量密度が高いほど更年期後に、減少の速度が遅い。可能な限り、骨量密度をピークに留めておくべきでしょう。
 骨量密度は二十八歳前後が最高。骨の形成に影響を与えるのは遺伝(六割)と環境(四割)です。 (1)カルシュウム、ビタミン、ミネラル塩等の豊富に含む食生活(2)エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のバランス(3)運動(4)日光浴が骨格形成を助けます。
 基礎慣習上(Check up basico)のチェックアップは次の検査を実施します。胸部X線、心電図、腹部超音波、赤血球検査、コレステロール、中性脂肪、尿検査、肝臓系酵素、尿酸、尿素窒素、クレアチニン、男性は前立腺系酵素。女性は婦人科検査とマンモグラフィーが加わり、家族の既往歴の調査や全身体の精密な検査を実施します。
 泌尿器、心臓などと区別された専門科別に特別なチェックアップもあります。例えば消化器は食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸-肛門、肝臓、すい臓、胆嚢、脾臓など。食道炎、胃炎、胃がん、胃・十二指腸潰瘍、慢性肝臓病、大腸炎、ポリープ等のように早めに治療しなければ健康に悪影響を及ぼします。
 消化器のチェックアップは先ず、消化器専門医の診察を受けた後、次の検査を実施します。
 エモグラム、脂肪のプロフィル、肝臓系酵素、ガマGT、ビリルビン、アミラーゼ、検便(寄生虫、潜血)検査、上消化器内視鏡―Endoscopia、腹部超音波、肛門・直腸・S内視鏡(Retossigmoidoscopia)など。
 チェックアップは健康状態を把握するために、安全で信用できる的確な方法であることを多くの人に認識してもらいたいと願い、文章を終わらせていただきたいと思います。
 なお執筆に当たり、援協の秋山、マルセーラ両職員に協力をいただき、感謝の意を表します。おわり