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臣道聯盟の映画来年公開へ=原作『コラソンイス・スージョス』=コロニア史をグローボが=注目集まる日本人俳優=監督は外相の息子

2006年5月26日(金)

 コロニア史の中でももっとも深い謎であり、歴史の焦点ともいえる勝ち負け抗争。その中心団体、臣道聯盟の歴史がブラジルで映画化されるプロジェクトが進んでいることが分かった。二十三日付けグローボ・オンラインによれば、フェルナンド・モラエスの著書『コラソンイス・スージョス』を原作に、新進気鋭の映画監督ヴィセンチ・アモリン(38)がメガホンをとり、名優ワギネル・モウラ主演で来年中ごろには公開される予定だという。
 ワルテル・サーレス(『セントラル・ド・ブラジル』=邦題セントラル・ステーション)、フェルナンド・メイレーレス(『シダージ・デ・デウス』=シティ・オブ・ゴッド)ら世界にはばたくブラジル人映画監督の次は、ヴィセンチ・アモリン――。その新作は、なんと臣道聯盟。
 そんな勢いでグローボ・オンラインが伝えるアモリン監督は、セルソ・アモリン外相の息子でもある。オーストリア生まれで、英国やオランダ、米国で育ち、十七歳からリオに在住する。移民の国を体現しているような生い立ちだ。
 映画の原作は二〇〇〇年に発刊されてベストセラーになった『Coracoes Sujos』(コラソンイス・スージョス、Companhia das Letras社)。著者はフェルナンド・モライス氏で、翌〇一年、国内出版界も最も権威のあるジャブチ賞のノンフィクション部門第一位にも輝いた。
 モライス氏の著作『オルガ』は〇四年にグローボ・フィルムから映画化され、大ヒットしたことは記憶に新しい。ユダヤ系ドイツ人女性で、ブラジルの共産運動の創始者プレスチスに共鳴して戦前、革命家として活動した生涯を描いたもの。制作費は百二百万レアル。全伯二百五十館で上映された。
 グローボ・オンラインによれば、臣道聯盟の映画の脚本は最終段階にあり、来年中ごろに公開予定だという。どうやら『オルガ』同様にグローボが制作するようだ。主役は同局お抱えの俳優の中でも演技派で知られるワギネル・モウラ。
 アモリン監督の前作にして初の長編『オ・カミーミョ・ダス・ヌーベンス』(〇四年)でもモウラはクラウジア・アブレウと共に主演している。
 映画サイト(www.cineminha.com.br)でインタビューに答え、アモリン監督は他に三本の映画制作が同時進行していることを明かし、「コラソンイス・スージョスは時代モノで、大半の登場人物は日本人になるだろう。もっとも面倒な、だが、他のどれよりも魅力的なプロジェクトだ」と意気込みを見せている。
 誰が日本人役の俳優として選ばれるのか、コロニアからエキストラの公募はあるのか――など、映画をめぐる話題が沸きそうだ。