2006年5月25日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】サンパウロ州政府は二十三日、PCC(州都第一コマンド)と軍警との衝突で巻き添えになった市民の犠牲者一一〇人の内、三十一人がPCCと無関係であったと発表した。これら犠牲者は、十二日から十九日に発生したPCC襲撃事件とは別に死亡したと思われる。通常の犯罪犠牲者は一週間に七人の割合であるが、三十一人が異常であることに違いはない。銃器密売CPI(議会調査委員会)に召喚された弁護士マリア・ラッシャード氏とセルジオ・クーニャ氏は、PCCの共謀者とみなされた。
八日間に及んだPCC襲撃事件で巻き込まれた部外者は三十一人と判明した。PCCメンバーの死者は七十九人、その内六十二人は撃ち合いで死亡。十七人は落人狩りで死亡。五十五人は身元確認済み。逮捕されたのは一三五人、その内九十六人は衝突時に拘束。三十九人はその後、拘束された。
治安当局は、河川への遺体遺棄や遺体の隠ぺいを否定した。全犠牲者は法医学研究所(IML)へ移送、死因別に整理するという。検察局が要求する市民被害者のリストは、事故調書とIML報告書を添付して提出するとサウロ保安局長官は述べた。検察局が指定する期限内の提出は、遺体の化学反応が十日かかるので、十分間では不可能とした。
マスコミやNGOからの被害者リスト公表要求で、治安当局に圧力が掛かっている。保安長官は、公器の倫理とプライバシー守秘により公表を拒否した。国際人権団体は、治安当局が騒動に紛れて容疑者の暗殺を決行したという疑惑を抱いており、検察局に徹底解明を要求している。
一方、市警本部は軍警らしき一団によってPCC襲撃の最中に執行されたリンチ六件を捜査する。犯人らは軍警の制服を着用し、目抜き帽を被り重装備をしていた。サンパウロ市サンラファエル公園では十四日夜、一挙に大勢が殺害された。大量殺人は、軍警内に存在が噂されるプロ集団の仕業とみられている。
サンパウロ市ジャルジン・ブラジル区では十三日、青少年三人が問答無用とばかりに射殺された。証言によれば、犯人は黒い服を着て、軍警が使用する同じモデルのバイクに乗っていた。市警殺人課には八十三人の不審死が記録されている。PCCの襲撃事件を除いても不審死は二〇〇六年に入り二三三%も増えた。犯罪人の大量処刑という名目で、無実の市民が多数巻き込まれている。
軍警が殺害すると、死者を自動的にPCCメンバーにするという噂がある。軍警にとっては、実弾を使った実戦訓練という見方だ。検察局は州政府に対し、被害者リストを期限内に提出しないと、公的機関の公務怠慢罪になると警告した。検察局はプロ集団の洗い出しに賭けている。
ボス・マルコーラの弁護士二人は銃器密売CPIに召喚され、上院録音係のシウヴァ氏と対審した。CPIの秘密喚問の様子を録音したCD購入について、二人の供述がシウヴァ氏の証言と矛盾したため、CPIの追及に合い偽証を白状した。CPI偽証により二人は二十九日、仮拘束処分を受ける。その後、連邦地裁により贈賄罪と犯罪組織構築罪共謀で起訴される。