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コラム 樹海

 若い人が集まる場を作る――これ以上の日系団体としての役割があるだろうか。一世が減少するにつれ、コロニア滅亡論を叫ぶ声は多くなった。百周年を目前に、二世への待望論と失望論が錯綜している▼その中で、十八日の文協・文化祭りは出色の出来だった。中川郷子実行委員長という若手理事を中心に、若者たちが楽しそうに運営をしていた。若者参加という意味では県連の日本祭り以上だ。印象的だったのは大講堂の光景だ。出し物は普段の催事とさしてかわらないのにブラジル人が多いこと。そして、カラオケやら日本舞踊やらを実に興味深そうに眺めていた。書道講座でも非日系人がさかんに挑戦していた▼子どもの頃にこんな行事に参加したブラジル人は、大きくなっても日本文化によいイメージを持つだろう、そんなことを予想させる光景だった。折り紙、ヤキソバ、カラオケ、マンガといった〃普段着の日本文化〃は若者呼び寄せの強力な武器だ▼九州ブロック合同運動会の長崎参加中止騒動も若者に関したことだった。ふだんは県人会にこないような非会員の若者も、なぜか運動会ならやってくる。楽しいのだろう。最初から「会費をはらえ」といっても寄り付かなくなるだけだ▼「十年後に幾つの県人会が生き残っているか」よくそんな話がでる。今以上に栄えた会があれば、母県を含めみなが喜ぶだろう。そこに到るための投資こそが今、必要とされているものだ。立派な会館を建てたところほど栄えたか、その結果もその頃には出ているだろう。(深)

06/05/25