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途上国の証券市場揺れる=米利上げ示唆で=ボベスパもトリプル安=「抵抗力は十分」と財務相

2006年5月24日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】サンパウロ証券取引所では二十二日、米政策金利の再度引き上げを見越してドル通貨が三・六七%も高騰、二・二八九レアルにつけた。カントリーリスクは四・五三%上げ二七七ポイントとなった。取引指数は三・二八%も下げた。これは国際通貨基金(IMF)と米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレの動向を案じて政策金利の再引き上げを表明、金融市場に変動を招き、投資家が一斉に資金を途上国から先進国へ移転したためとされる。資金の移動は、「安定株への逃避」と呼ばれ、発展途上国の証券市場は軒並み一斉に揺さぶられた。
 途上国の証券市場は二十二日、米国のインフレ懸念と政策金利の引き上げ示唆で一喜一憂させられた。サンパウロ証券取引所も、二〇〇五年十月十八日以来の下げ幅を記録した。五月まで累計で九・五八%下げ、過去十二カ月間で九・〇九%も下げた。米政策金利の引き上げは世界経済の停滞を意味する。投資家はより安全な投資を求め、米国や日本、EUの債券へ走った。
 ブラジルでは五月十一日から海外投資家のドル購入が始まり、国内の投資家もそれに準じた。ドルは累計で一一・一二%上げた。ここ数年間、ブラジルを始め途上国に大量のドルが流れ込んだが、今回の変動で為替投資によるチャンスは大きく開かれたといえる。
 米政府は近日、FRB統計の個人消費額を発表する。二十六日まで不安定な変動が予想され、その後六週間位で安定する見込みだ。事態が急転するような番狂わせはまだしばらくないと関係者はみる。
 政府は、輸出業者の要請で為替制度の変更を検討している。変更はパロッシ前財務相の時代、IMFと合意した基礎収支の財政黒字を先送りすることで為替操作を行うというもの。しかしロンドンの金融筋は、時期的に政策を誤る可能性が高いと案じている。
 米の金利引上げ示唆で生じたグローバル的に不安定な時代、ブラジル経済の基礎的条件を揺さぶるような金融資産の動きがあると、インパクトは大きいと関係者が警告する。資金が途上国から先進国へ移動しているときは、金融市場のグローバルな軌道修正が行われているとみなければならない。
 マンテガ財務相とメイレーレス中央銀行総裁は、輸出規制の緩和策がレアル通貨の引き下げと中銀の為替制度改正の機会になると述べた。ロンドン金融市場は、ブラジルが蓄えた金融資産がせっかく評価されたのに、緩和は自分の首を絞めるという。しかし、財務相の選手交代をしたことで、新財務相の腕を見せて貰おうという意見もある。
 マンテガ財務相は二十二日、米国発の金融変動がブラジルに及ぼす影響は軽微だと述べた。ブラジルに投下された資金は安定しており、きまぐれな投機資金は少ないとみている。ブラジル経済も基礎が堅牢で、抵抗力は十分あるという。
 経済評論家のミング氏は、米国が抱える対外収支の巨大赤字で、いつインフレが襲ってもおかしくない状態という。米消費者の生活スタイルは、狂気の沙汰といわざるを得ない。自宅を担保に借金し、ドンチャン騒ぎをしているのだ。中国が食べる物も食べず貯めた金で米国債を買い、米国の晩餐を賄っている。こんなことがいつまでも続くわけがない。