2006年5月23日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十、二十二日】PCC(州都第一コマンド)による一連のテロまがいの行為は関係者の間で悪夢の一週間と呼ばれ、サンパウロ州当局は再発防止に向けて対応を迫られている。
サンパウロ州司法当局は十九日、襲撃事件の指令が刑務所に服役しているPCC幹部が携帯電話で発したとの結論に達したことで、州政府の要請を聞き入れて、刑務所所在地の携帯電話の交信網を停止する旨の決定を下した。これにより推定二〇万人の市民が携帯電話の利用が不可能となり、賛否両論の物議をかもしている。
また暴動が発生した七三の刑務所では家族の面会が無期限に禁止される制裁措置が取られた。家族や人権擁護団体は人権無視だと非難している。さらに警官らが集約している公営住宅では襲撃の標的となったことから移転を検討したり、住民が一丸となって警備を強化する対策が練られている。
いっぽうで、今回の騒動を受けて上院が前代未聞のスピード議決をした組織犯罪に関する法案に対する下院議決は早急に行われない見通しとなっている。サッカーのワールドカップが始まることと、十月の統一選挙に向けて下院議員らの心中は「それどころではない」のだ。
携帯電話の交信網の切断は刑務所が集約するアララクアラ、イアラ、サン・ヴィセンテ、フランコ・ダ・ロシヤ、プレジデンテ・ヴェンセスラウの各市で十九日午後一時をもって一斉に行われた。この措置は当面二〇日間継続される。
この範囲での携帯電話利用者は人口の二人に一人と言われており、全体で二〇万人が利用不能になると推定されている。車やオートバイが路上で故障したり事故をおこしたりした場合、運転手は最寄の固定電話を探すはめとなる。また、宅配ピザやパン屋、レストランも携帯電話は商売で不可欠となっており、関係者から非難の声が上がっている。
一方で防犯のためなら止むを得ないとする声もあり、数年前には携帯電話がなかったことを思い、また現在でも携帯電話を利用しない人もいることから辛抱すべきだとしている。
また、刑務所管理局は暴動が発生した七三の刑務所での今週末から家族面会を禁止した。制裁のためもあるが、暴動による破損がひどく面会者を受け入れる状態にないのが理由。うち十カ所は完全破壊に近く、受刑者は他の刑務所に移送されている。
通常暴動による面会禁止の措置は最高一カ月だが、今回は無期限と発表された。面会は毎週土、日曜日の午前八時から午後五時までとなっている。
ほとんどの家族がサンパウロ市内あるいは近郊に居住しているため、サンパウロ市二カ所のバスターミナルから毎週金曜日夜に発車する刑務所行き専用バスは十九日夜は、人影がなかった。通常は食料品や衛生用品を抱えた家族で満員となる。