2006年5月19日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】サンパウロ州犯罪捜査課のビッテンコウト課長が十日に下院武器密売CPI(議会調査委員会)の秘密喚問で行った質疑応答内容の漏洩が、PCC(州都第一コマンド)の襲撃事件につながった可能性が出てきた。喚問で同課長はPCCの襲撃準備と警察の対策について述べていた。漏洩は下院の一職員が録音し、PCC弁護団に二〇〇レアルで売却。売却の同日にもCDはボス・マルコーラことカマショの手に渡った。裁判所は十七日、刑務所六カ所で付近一帯の携帯電話を二十日間ブロックした。軍警がPCCメンバーの留守家族を射殺しているとの情報がある。
録音した職員によると、二〇〇レアルが一連の襲撃事件の引き金になったらしい。録音をしたのは下院の委託企業職員アルトゥール・シウヴァ氏。CDを購入したとみられるのはPCCの弁護士セルジオ・クーニャ氏とマリア・ラシャード氏。クーニャ氏は購入を否定した。
裁判所が携帯電話の使用を二十日間ブロックしたため、刑務所付近のアヴァレ、アララクアラ、イアラス、プレジデンテ・ヴェンセスラウ、サンヴィセンテ、フランコ・ダ・ロッシャの各市は通信が不通となり、経済活動に多大な支障と混乱を来たすと予想される。
PCCの襲撃は、舞台をサンパウロ市と地方都市の低所得者の居住地域へと移した。軍警の家族を襲って殺害しているらしい。また軍警は無防備なPCCメンバーの留守家族を殺害しているという。犠牲者の総数は十七日までに一四七人となった。
連邦政府の応援を拒み、マルコーラの弁護士に刑務所まで空路の便宜を図ったことで批判を受けたレンボサンパウロ州知事は、最悪事態を回避する知事としての義務だったとの声明を発表した。PCCとの交渉に関する記者団の執拗な質問攻めに対しては一切の接触を否定し、知事は心証を害した様子であった。しかし、軍警への連絡不十分と予想以上に軍警犠牲者が出たことは認めた。
サンパウロ州検察官七人のうち六人がフルカワ長官の更迭を求めた。しかし、母の日に受刑者一万二〇〇〇人に帰宅許可を出したのは、サンパウロ州検察局である。帰宅を許された受刑者のほとんどはPCCメンバーであった。暴動の予測報告を受けていなかったと検察官は言い訳し、責任逃れをした。
連日のおびただしい犠牲者数の報道で、人権団体のNGOが事実確認を求めた。騒動が下火になったと思われた十七日にも、二十二人の犠牲者が出た。軍警側の対処に疑問があるというのだ。犠牲者の遺体は検死医のもとに運ばれ、処刑と撃ち合いによる死亡を類別し、致死状況を検察局へ報告する。
治安当局の中に殺し屋集団があるとの噂は一九五〇年代からあった。一九七五年に法廷へ引き出されたが、最近また蘇生したらしい。カランジルーの受刑者一一一人の殺害、カンデラリアの未成年殺害、フルミネンセの二十九人リンチなど、異常な事件がまだ見受けられる。
ロンドンの国際恩赦協会も、現地報告を受けて調査に乗り出した。遺恨に遺恨で報復する対処法が殺人を増幅するという。同協会はブラジル治安当局の対処、刑務所内の麻薬や銃取引、携帯電話の持込み、殉職警官の遺族、裁判判例の疑問、現実に機能しない刑法などを検討する。