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襲撃事件の責任なすりあい=大統領、前政権を攻撃=州民を侮辱と前サンパウロ州知事反発

2006年5月19日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】ルーラ大統領は訪問先のゴイアス州で十七日、サンパウロ州で発生したPCC(州都第一コマンド)による無差別襲撃事件に触れ、悪を増長させたのは前政権の責任だと痛烈に批判した。
 大統領はカルドーゾ前大統領およびアウキミン前サンパウロ州知事(ともにブラジル民主社会党=PSDB)が教育施設の拡充をないがしろにしたために青少年が犯罪に走って犯罪組織が膨れ上がり、今回のような暴挙に発展したと決めつけた。
 これに対しアウキミン前サンパウロ州知事は早速強硬に反発、州民の品位を傷つけた侮辱的な発言だとして、大統領選に向けた責任転稼の小細工な事前宣伝だとの声明を公表した。
 大統領選とサンパウロ州知事選は与党労働者党(PT)とPSDBの一騎打ちになるとみられており、これを機に前哨戦の火蓋が切り落とされたとする向きが多い。いずれにしても今回の責任のなすり合いは、今後も政争に発展することは疑いの余地がない。
 ルーラ大統領はセーレス市の病院改修落成式で演説し、一九七〇年代から歴代政権が教育に注力しなかったことを挙げ、とくにカルドーゾ前政権がないがしろにしたことで犯罪が増加したと指摘した。当時学業の場を与えていたら青少年は非行に走らず。教師と学生が増えて犯罪組織は増長していなかったことを強調した。
 さらに大統領は現在四つの大学を新設中で、これで二〇万人以上の学生が修学できることを例に挙げ、しかるにカルドーゾ前政権は一九九八年に教育面での投資を打ち切り、州や市およびNGO団体に任せきりだったと非難した。刑務所を新設するよりも教育への投資の方が安くなるとも語った。
 さらにサンパウロ州アウキミン前知事にも批判が及び、治安強化は州の責任だとし、犯罪組織が警察より威力があるのは許せないことだとこき降ろした。武力を鎮圧せずに犯罪組織と交渉して屈服するようでは治安国家といえないとも評した。
 政府はいつでも支援の用意があるが、イニシアティブを取るのは州だとし、今回サンパウロ州知事が連邦介入を拒否したことに不満をもらした。