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PCC暴動=東洋街にも緊張はしる=リ広場には移動交番設置

2006年5月17日(水)

 リベルダーデにも緊張走る―――。犯罪組織州都第一コマンド(PCC)による警察への襲撃などの恐怖が市民を混乱と恐怖に陥れた十五日午後、多くの商店がシャッターを下ろし、日系進出企業や日系団体も早く事務所を閉めた。リベルダーデ区も例外ではなく、広場に設置された移動式交番前にはショットガンを携えた警官が常駐、異様な空気に包まれた。四十年近くサンパウロに住む日系男性は、「まさに内戦状態。こんなのは初めてだ」と困惑の色を見せた。
 「複雑な気持ちです」――。
 今年四月に軍警を退役した谷口潔元中佐はニッケイ新聞の電話取材に答えた。十五日に元職場であるサンパウロ州軍警総司令部に足を運び、事態収拾に奔走するかつての同僚や部下をねぎらったという。
 金曜日の夜にはじまったPCCによる警察襲撃と各地の刑務所暴動。十五日の午後に入って様々な情報が飛び交い、事態が急展開の様相を見せ始めたことから、日系団体、政府機関、日系企業などはそれぞれ対応に追われた。
 ブラジル日本文化協会(上原幸啓会長)は午後四時過ぎには職員が退出、同ビル内の日系団体もそれに準じたようだ。
 国際協力機構サンパウロ支所(JICA)は東京本部からの要請を受け、大サンパウロ圏内に派遣されている青年、シニアボランティアの安否を確認、夜間の外出などを控えるよう通達した。
 伊藤忠ブラジルを始めとする日系進出企業も事務所を早々に閉めるなか、在サンパウロ総領事館は午後五時に安全対策情報をまとめ、関係機関に送付。
 リベルダーデ広場にある「バンカ篠崎」や周辺のバールも早仕舞い、夕方六時ころになると、広場は闇に包まれ、ショットガンを持った警官たちの姿が街に緊迫感を与えていた。
 カンポ・リンポ区にある日本人学校を始め、日系子弟が通う多くの公立学校が授業を短縮、校門まで迎えにきた父兄らの心配顔がテレビで写し出されていた。
 十六日現在、状況は沈静化の方向に向かいつつあるようだ。谷口元中佐は「現在、大規模な検問も行っているし、これから落ち着くと思います」と話すとともに、「普段同様身の回りに気をつけ行動することが肝要」と注意を呼び掛けた。