2006年5月16日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】犯罪組織の州都第一コマンド(PCC)が警察に宣戦布告をして市街戦さながらの武力攻撃を開始して三日が経過したが、さらに民間施設などを標的としたテロ行為まがいの動きに発展、市民を不安に陥れている。
サンパウロ州軍警はPCCに対し、いかなる交渉や妥協にも応じないとして武力による徹底抗戦を指示した。十二日に始まった攻撃に対抗するため、緊急召集をかけ、休暇や非番を返上させて二十四時間体制で警戒に当っている。
これにより、軍警八十八台、機動隊四十五台のパトロールカーが巡回に当っている。当局の発表によると、これまでの過去二十四時間以内に一一五件の襲撃事件でPCCメンバー二三人を射殺、八二人を逮捕して九七丁の武器を押収したという。このため警察署襲撃は急減、レンボサンパウロ州知事は警察のコントロール下に入ったと宣言、軍警司令官も戦況は逆転したとの認識を強調した。
いっぽうでバスの焼き打ち、銀行、裁判所や連邦道路警察詰所などの襲撃が相次いでいることから、当局では民間施設に被害が拡大するとみて警戒している。当局が組織の電話盗聴で得た情報によると、政府要人とくにアウキミン前サンパウロ州知事の所属党であるブラジル民主社会党(PSDB)党員を標的にする指令が出ているほか、サンパウロ州内の経済をかく乱するよう指示があったという。
このため十四日午後、二行の銀行支店とガソリンスタンドが手りゅう弾などで破壊されたほか、サンパウロ市内のみで四一台のバスが焼き打ちされた(十五日午前十時のテレビ、グローボのニュースではサンパウロ州で総数六八台が焼き打ちされた)。ただし焼き打ちされたバスには乗客がいたが、PCCメンバーは全員に降りるよう命令、「お前らには罪はない、悪いのは政治だ」と言ったことから、市民に危害を加えるつもりはないことを強調した。
しかしテレビが伝えたところによると、市内のメトロのアルトゥール・アルヴィン駅で十五日朝、PCCメンバーとみられる男が無差別銃撃をして多数の市民が負傷したことで、暴挙がエスカレートしている。
いっぽうでサンパウロ州にある一〇五カ所の刑務所のうち、七一カ所で暴動が発生、十四日夜までに二五カ所が鎮圧されたのみで、ほかは依然として危険な状態が続いている。保安当局は刑務所内の携帯電話が指示や連絡に使用されているのが原因だとして、通信省に刑務所在地付近の電話交信網の打切りを要請した。
重なる暴動による被害者の続出に刑務所従業労組をはじめとする関係者は州政府の責任だとして、アブレウ保安長官とフルカワ刑務所管理局長の更送を求めたが、レンボ知事は二人とも保安局に不可欠な存在だとして拒否した。