2006年5月12日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】保健省を舞台とした救急車汚職事件を摘発した連警は十日、連座したとされる八十三人の国会議員のリストを裁判所に提出し、立件のための証拠固めをした後に送検する方針を固めた。
連警は灰色議員が総勢一七〇人に上ると見ており、全貌解明に全力を挙げている。これにより先に逮捕された議員秘書や高級官史ら四十八人(元下議二人を含む)に加え、捜査は国会議員も対象とし、新たな国会スキャンダルに発展することが必至の状況となった。
いっぽうで事件が明るみになったことで当惑を隠せないでいた上下院両議長は、徹底調査の上で灰色議員がクロと断定された場合は議員権剥奪をも辞さないとの強い態度を示した。にもかかわらずアウド下院議長をはじめとする下院運営委員会は十日、疑惑の深い十六議員のみ調査を開始すると発表、残りの議員については証拠不十分として当面追及しないとの決定を下した。
これに対し関係者は早くもスキャンダルもみ消し工作かとうがった見方をしている。また、同議長が声明文で連警のリスト発表は玉石混交の行き過ぎ捜査だと非難したことに連警側が反発していることから、又もや司法と立法の対立が表面化してきた。
連警は保健省内でのまとめ役とされ、すでに逮捕したマリア・ダ・ペーニャ保健相補佐官との間で司法取引が成立したことで事件の全貌を聞き出すのに成功した。今回の事件はマットグロッソ州に本社を置くプラナン社が企画演出し実行に移されたもので、同補佐官は昨年三月まで同社の社員だった。補佐官はその時代のスケッチや書類コピーを基に犯罪を証明した。
一七〇人の議員が関与していると供述しているが、十日までの取調べで八十三人の受け取った金額や賄賂の授受の模様を実証したと伝えられている。議員への金銭受渡しはプラナン社の社長親子を始め幹部が担い、なかには運び屋と呼ばれる社員もいたという。