2006年5月10日(水)
サンパウロ州農務局カンポス・ド・ジョルドン農事試験場で、タバタ農業技師が鱒(ます)の餌に大豆のレシチンを混ぜ、サーモン(鮭)と同じ色に着色することに成功した。同技師はますの雌にホルモンを注射して雄に性転換させ、短時間に成長促進することにも成功した。養殖期間は七週から四週に短縮される。自然養殖では一匹三〇〇グラムだが、ホルモン注射をすると一・三キロにもなる。
サーモン化したますは販売価格が倍になり、餌代は三〇%増で済む。
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いま耕運中のトラクターの側へ行くと、フェイラのパステイスを揚げている臭いがする。農家は生産費節約のため、ディーゼルオイルに大豆油を混入している。ディーゼルオイルで動く機械や軽トラにも大豆油九〇%、ディーゼルオイル一〇%の割合で使う。大豆の港湾渡し価格はトン当たり四五〇レアル、農場から港湾までの運賃が二〇〇レアル。運賃が大豆販売価格の六五%に相当する。燃費の比較をするとマット・グロッソ州でディーゼルオイル一リットルが一・六〇レアル、大豆油は一・二〇レアル。大豆を栽培していない農家はトラック一台分の大豆代金を大豆油で購入する。これで燃費が三〇%節約できるという。大豆油による馬力不足やエンジンの損傷は、これまでないと好評である。インジェクターの潤滑程度はディーゼルオイルよりもよい結果が出た。
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サンパウロ州サウト郡で香辛料用植物を二五ヘクタール栽培するグランジャ・クエレンシアは、平行して親子一一五〇〇頭の豚を飼育し、一五年間肥料を購入したことがないという。豚舎から出る糞や尿、落ち毛、豚舎の洗浄水、こぼれた飲み水、残飯一〇〇%を肥料として利用している。そのため畑は豊かな有機質土壌に恵まれている。同グランジャが模範農場に指定されたのは、豚舎から出る廃棄物を有効に処理しているからだ。