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ボリビア追加投資中止へ=ペトロブラス発表=ガス価格調整にも応じない=液化ガスの輸入も検討

2006年5月5日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】ペトロブラス(石油公団)のガブリエリ総裁は三日、いかなる計画といえどもボリビアへの追加投資は中止すると発表した。現在進行中のブラジル・ボリビア間ガス・パイプラインの敷設投資計画も中止した。この計画は現在のガス送出能力を五〇%引き上げ、日産三〇〇〇万立方メートルを配給するものであった。同総裁は、ボリビア政府のガス国有化による価格調整に応じない意向も表明。もしも公式に価格調整の要請があれば、国際司法裁判所へ提訴するという。ボリビア政府は、ブラジルへのガス送出継続を希望しており、ガス不足による停電や節電はないと同総裁が述べた。
 ボリビア政府のガス国有化宣言から二日後、ペトロブラスが同国への投資は進行中のパイプライン敷設工事も含めて中止すると発表した。企業へのガス供給契約は全て履行を保証すると同総裁は述べた。ボリビアの国有化宣言は政治的駆け引きであり、現場は正常に機能しているという。
 産出するガスを濃縮してボリビア国内の燃料油に配給しているからガス採掘を停止することはない。ブラジルへの送出停止は、ボリビア国内の配給停止でもある。ブラジルの他にガスの供給先もない。
 両国間には二種類の契約書が交わされている。モラレス大統領が国有化したのは、ペトロブラスが採掘した生産物の報酬に関するもののみである。いままでペトロブラスは取引額の一八%を徴収していた。ボリビア政府はこの一八%を減額すると思われる。
 ペトロブラスは現時点では、撤退の意思がないようだ。同公団はボリビア政府と二〇一九年まで、どのような状況変化があろうとも毎日三〇〇〇万立方メートルのガスを供給する新たな契約を締結する考えだ。ボリビア向け追加投資を中止したことで、ブラジル国内需要の一五〇〇万立方メートル代替を即時工面しなければならない。
 そのためペトロブラスは、液化ガスを輸入しガス化する計画だ。ガス化設備が始動するには二年かかる。値段も高くなる。今回のような国有化騒ぎに備えて火力発電所の発電継続のため、このような非常用設備は必要らしい。
 ボリビア政府の国有化は、単なる生産設備の接収では済まない。ボリビアにつぎ込んだ一三億ドルの債務も引き受ける責任がある。債務は、銀行や資本材供給業者、ブラジル・ペトロブラス本社に対してである。本社に対する債務は、決して棒引きしないという。ボリビアの誰が債務決済の責任を負うのかハッキリさせるらしい。
 債務の決済額は、利益が縮小すると割高になる。国有化で税金を五〇%から八二%へ引き上げると宣言しており、当然利益幅が縮小する。だが債務決済は情け容赦をしないとペトロブラス本社が構えている。
 四カ国首脳は四日、ボリビア・ガスの国有化による価格調整を協議するためプエルト・イグアスーに集まる。ルーラ大統領は大統領選の矢先、頭が痛い。ガス供給に支障が起きると、南部と東南部の産業がエネルギー不足から生産調整に入り、インフレ再来の引き金となりかねないからだ。