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ボ資源国有化=伯、正当性認める=操業につき交渉継続=大統領、安定供給の言質要求=ガス価格10~15%調整へ

2006年5月4日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】ルーラ大統領は二日、ボリビアのモラレス大統領と電話で会談し、ブラジルへのガス供給で言質を求めた。大統領は四日、フォス・デ・イグアスー市でボリビアとアルゼンチン、ベネズエラの首脳と、ガスと石油の国有化について会談を行う。大統領府はボリビア政府の措置が混乱を招いたが、国家主権に基づいた正当な行為として認める声明を発表した。ペトロブラスは、ボリビア産ガスの原価高騰を避けるため当国政府と交渉し、即時撤退はしないことを決定した。しかし、ブラジル国内でのガス供給価格は近日、一〇%から一五%の調整を余儀なくされる見通しとなった。
 ボリビア政府の石油とガスの埋蔵確保と採掘管理は、当事国の国家主権に基づくものとして国有化を認める声明をブラジル政府が発表した。ボリビアで最大の多国籍企業であるペトロブラスは、その操業権について引き続き交渉を行うことが臨時閣議で決まった。
 ブラジルは、消費ガスの五〇%をボリビアのガスに依存する。火力発電所や工場、住宅、都市ガス、乗用車、通勤バス(GNV)など需要は広範囲に及んでいる。ボリビアのガスの安定供給は、ブラジルにとって経済活動の必須条件である。ルーラ大統領は安定供給の保障を求めた。
 フォス・デ・イグアスー市では、ペトロブラスの設備接収に対する弁償を求める。ブラジルへのガス供給価格についても、過当価格の設定を行わない協定を結ぶ。大統領府は、ボリビアでのペトロブラスの権利を守るため冷静かつ断固とした対応を取ると強調した。
 ルーラ大統領はモラレス大統領に貸しがある。友好関係と誠意を建前とするボリビア政府も理解は示したようだ。モラレス大統領の国有化に関する意向を、アルゼンチンとベネズエラ政府に大統領は伝えた。その結果、フォス・デ・イグアスー会談となった。
 ガス国有化騒ぎは一応納まったものの、突飛なことをする新政権である。アモリン外相やロウセフ官房長官、ペトロブラスのガブリエリ総裁らは、ブラジルの運命を左右する重要な会議出席のため外遊していた。それが予定を急きょ変更して帰国した。
 ルーラ大統領は溜飲を下げたが、飼い犬に噛まれた思いであったらしい。モラレス大統領は選挙戦当時からどう喝発言はあったが、まさか決行するとは思わなかった。少し調子付いたようだから、イグアス―市では灸をすえる。ペトロブラスの事業所へ軍隊を送り込むとは言語道断である。
 モラレス大統領の立場で考えるなら、就任早々国会対策として格好をつける必要があった。過激発言や過激行動は、国内には効果がある。多国籍企業に対し一八〇日間の交渉時間を与えたことは、ヨリを戻す場を備えたとみられる。
 ブラジルとボリビアの友好関係はエネルギーを始め保健、教育、農業分野などで経済・技術協定を結ぶなど、国有化前夜まで順調であった。ルーラ大統領は、モラレス氏が大統領の席に座るまで面倒を見ると約束をしたのだ。それがこの有様では、背後から匕首を刺す裏切りとしか思えない。